ヨーロッパ最大の自動車メーカーであるフォルクスワーゲンは、経営悪化を打開するためにドイツの工場を閉鎖し、構造改革を進めることを発表した。工場の閉鎖は、1973年のフォルクスワーゲン設立以来、初めての事例となる。
ドイツのメディア「ハンデルスブラット」などによると、フォルクスワーゲングループの最高経営責任者(CEO)オリバー・ブルーメ氏は、2日(現地時間)の労使協議会で「自動車産業は非常に厳しく深刻な状況にある」と述べたと報道した。
完成車工場と部品工場をそれぞれ1か所ずつ閉鎖する案が検討中であると報じられている。
フォルクスワーゲンは、ヴォルフスブルク、ブラウンシュヴァイク、ザルツギッターなど6か所に工場を保有しているが、構造改革も進められる予定だ。ドイツのメディアは、工場閉鎖と構造改革により2万人の雇用が失われる可能性があると伝えている。現在、ドイツ国内のフォルクスワーゲンの従業員数は約10万人である。
フォルクスワーゲンは、電気自動車の需要低迷と中国の電気自動車メーカーのヨーロッパ市場進出により困難を抱えている。ヨーロッパ運輸環境連合(T&E)によると、ヨーロッパにおける中国製電気自動車の割合は、2019年の0.4%から昨年は19.5%に増加しており、今年は25.3%に達する見込みだと予測されている。
しかし、労働組合の反発により、工場の閉鎖は難しいとの見方もある。フォルクスワーゲン労使協議会の議長ダニエラ・カバロ氏は「収益性と雇用の安定性が同等に重要だという数十年にわたる合意に、経営陣が疑問を投げかけている」と指摘し、「これは私たちの雇用、労働環境、そして団体協約に対する攻撃だ」と述べた。