暑くもないのに大量に汗をかくことがある。一度や二度ならまだしも、これが続くと衣服が湿り、汗の臭いが加わることで大きな不快感やストレスを感じることがある。この現象はなぜ起こるのだろうか？その理由を詳しく見てみよう。
過度に汗をかく場合、「多汗症」が疑われる。多汗症は汗腺が過度に働き、同じ環境にいる他の人々よりも著しく多くの汗をかく状態を指す疾患だ。多汗症と診断されるには、少なくとも6ヶ月間、他に医学的な原因がないにもかかわらず過度な汗が続くことが必要だ。
汗をかく原因はさまざまで、運動中には心拍数と体温が上昇し汗の生産が活性化する。運動中には平均して約2リットルの体液を失うため、運動前後には十分な水分を摂取することが重要だ。加えて、暑い天候は汗をかく量を増加させ、湿気の高い空気は汗の蒸発を困難にする。
アルコールの摂取は心拍数を増加させ、皮膚の血管を拡張させて汗を引き起こす。また、禁断症状の一部として過度の汗や冷や汗が発生することがある。アルコールは神経系と内分泌系のコミュニケーションを妨げ、ホルモンの不均衡を引き起こすことで汗の量が増加する。
さらに、特定の疾患も過度な汗の原因となる。甲状腺機能亢進症、糖尿病、バセドウ病、パーキンソン病、脊髄損傷などが該当する。医学的な原因が疑われる場合は、専門家に相談することが重要だ。
また、一部の薬剤も過度な汗を引き起こす可能性がある。抗うつ剤、非ステロイド性抗炎症薬（NSAIDs）、血圧薬、糖尿病薬などが該当する。こうした場合には、医師に相談することが推奨される。
不安やストレスは汗腺を刺激し、心拍数と血圧を上昇させることで体温が上がり、より多くの汗をかくことになる。ストレスは手のひらや足の裏にも汗を引き起こすことがある。
ホルモンの変化も原因となることがある。閉経期にエストロゲンのレベルが不安定になると、脳の視床下部が体温調整に混乱し、体が過熱したと誤認して過度な汗をかくことがある。体が熱が発生させると、体温を正常に戻すために、多くの汗をかくことになる。
カフェインや辛い食べ物も、汗腺を刺激する要因の一つである。コーヒーを飲む場合は、十分な水を摂取して体液バランスを維持することが望ましい。
適度な汗を管理するためには、十分な水分を摂り、通気性の良い服を着用し、デオドラントを使用することが役立つ。また、場合によってはボトックスなどの治療法も考慮されることがある。