米国のドナルド・トランプ前大統領が自身を米国製造業のリクルーターとして打ち出し始めた。
米国に工場を移転する海外企業には税制優遇と連邦土地使用権が与えられる代わりに、移転しなければ関税で報復するとした。
ウォール・ストリート・ジャーナル（WSJ）によると、トランプ前大統領は24日（現地時間）ジョージア州サバーナの遊説演説でこのような構想を提示する見込みである。
トランプ陣営の高官によれば、トランプ前大統領は再選に成功すれば米国の経済開発のために他国の雇用と工場を米国に取り戻す計画である。
同高官は、トランプ前大統領が海外企業を採用するリクルーターの役割を果たす計画を立てており、海外製造業者に製造設備を米国に移転するために必要な苦労を尋ね、それを解決する計画であると述べた。
トランプ前大統領の計画の一部は、共和党の伝統的なアプローチでもある。規制緩和と低い法人税率は共和党が経済成長のために掲げている主な経済政策の方針である。トランプ前大統領は15％の法人税率を永久化する計画を持っている。
トランプ前大統領はこれに加え、自身のトレードマークである高い関税を鞭のように使い、さらに立地に対する企業の意思決定に米政府が積極的に介入するという構想を練ったと見られる。
WSJはしかし、海外企業も米国企業と同様に米国で得た収益に対して米企業と同じ税率で税金を支払い、インセンティブも米企業と同じであるため、彼のこの対応が実際に海外企業誘致にどれほど役立つかは分からないと報じた。
トランプ前大統領は米国に製造設備を移転する海外企業には税額控除を提供するが、海外で生産し米国に輸出する企業には不利益を与えると目論んでいる。関税率を10～20％に設定し、すべての輸入品に関税を課すと明らかにしている。
しかし、すべての輸入品に関税を課すと米国内の競争相手には利益がもたらされる可能性がある一方、輸入物価が上昇しインフレーション（物価上昇）の圧力が高まり、貿易相手国が報復に出る可能性があるため、米国の輸出企業には不利に作用する。
さらに、様々な税制優遇と補助金は公的資金を民間企業に提供するという点で公平性の問題を引き起こす可能性がある。
一方、トランプ前大統領は生産施設を海外に移転する米国企業には報復を警告した。
彼は同日に、米国を代表する農機具メーカーのディアがメキシコで農機具を生産し米国に持ち込む場合、200％の関税を課すと警告した。
民主党大統領候補であるカマラ・ハリス副大統領は、トランプ前大統領のこのような考えが同盟国を困惑させる行為であるとして批判した。
億万長者投資家のマーク・キューバン氏も彼のこの方針を「狂った行為」と非難した。
キューバン氏は「トランプの脳みそから彼の口を通じて出てくる言葉は、ほとんど滑稽であるか、または狂ったような言葉である」と述べた。
キューバン氏は、もしトランプ前大統領がディアに200％の関税を課し、すべての中国産製品に10～20％の関税を課すと、結局中国産の農機具がディア製品よりも高い価格競争力を持つことになると指摘した。