北朝鮮が韓国に対して使用した「汚物風船」の技術が、ロシア・ウクライナ戦線でも軍事転用される可能性が浮上している。軍事専門家らは、北朝鮮軍による風船の活用について、ウクライナの防空網攪乱や化学兵器搭載による化学戦への応用の可能性を注視している。
21日(現地時間)、ウクライナメディアの報道によると、ロシアのクルスク州コミュトフカ地域において、北朝鮮軍教官約40人とロシア軍兵士50人が展開。北朝鮮軍は軍事目的での風船運用技術を、ロシア軍は現代型歩兵戦術をそれぞれ相互に指導したとされる。この北朝鮮軍の風船は、韓国を標的に5月末以降29回にわたり投下された「汚物風船」と同型とみられる。北朝鮮軍は風向・風速の制御、タイマーや発熱装置の運用ノウハウをロシア軍側に伝えたとされる。
ある軍高官は「ロシアに派遣された北朝鮮軍が、汚物に代わり化学兵器やブービートラップを搭載した軍事用風船をウクライナ戦で投入する可能性がある。ただし、化学兵器の使用は戦況を一変させかねず、容易には踏み切れないだろう」と指摘した。
自主国防ネットワーク事務局長のイ・イルウ氏は「近時のロシア軍が、ウクライナ軍の防空武器枯渇と防空網攪乱に主眼を置いていることを踏まえれば、防空網への過負荷を狙って軍事用風船が活用される公算が大きい」と分析。また同氏は「ロシアがドネツク地方のポクロフスク戦線やクラホヴェ戦線でドローンによる化学兵器使用を拡大している」と述べ、風船がドローンより低コストな化学兵器投下手段として転用される可能性を示唆した。
一方、韓国国家戦略研究院統一戦略研究センター長のムン・ソンムク氏は「ウクライナの広大な平原地帯での化学兵器の精密運用には限界がある」とし、風船は主にビラ散布など心理戦目的での使用が想定されると分析している。
さらに、北朝鮮はロシアへの軍事要員派遣に加え、ウクライナ占領地再建への労働力提供の動きも相次いで確認されている。自由アジア放送(RFA)は22日、ウクライナ軍特殊作戦部隊下部組織の民族抵抗センター(CNR)が「北朝鮮労働者がロシア一時占領下のウクライナ域内で一部建設作業に従事している」と発表したと伝えた。
報道によると、北朝鮮労働者はウクライナのドネツク地域で作業に当たっており、その大半が既存のロシア建設現場就労者とされる。また、8日から13日にかけてロシアに派遣され、軍事訓練中の「暴風軍団」所属1,500人についても、訓練2週目に入り、前線投入が間近との見方も出ている。