インドで、食べ物に唾を吐いたり、尿を混入させたりする事件が相次いで発生し、2つのインド州政府がこれを禁止し、厳しい罰則を伴う法整備に乗り出している。
29日(現地時間)、BBCによれば、インド北部のウッタラーカンド州は、食べ物に唾や尿、土などの異物を混入させた場合、最大10万ルピー(約18万円)の罰金を科すと発表した。また、隣接するウッタル・プラデーシュ州も同様に厳格な法律を導入する予定だ。
これは最近、インターネット上で屋台の商人らが食べ物に唾を吐いている様子を映した映像が急速に広がっているためである。
特に、ある女性が食べ物に尿を混ぜる動画が流出し、インド国内で大きな衝撃を与えた。その女性がイスラム教徒であるとの噂が広まり、宗教間の対立に発展しつつあるが、実際の調査でその女性は、ヒンドゥー教徒であることが確認された。
こうした動画は、インド国内で食品の安全に対する懸念をさらに高め、国民の怒りを引き起こしている。
この状況を受けて、2つの州政府はこうした行為を防ぐための法整備を進めている。
ウッタラーカンド州は、不衛生な行為を防ぐため、違反者に対して最大10万ルピーの罰金を科すほか、一定規模以上の飲食店の厨房に防犯カメラの設置を義務付ける方針だ。
また、食べ物に唾などの異物を混入させた場合、最大で10年の懲役刑を科すことも検討している。
しかし、野党や法律の専門家たちは、この法案の実効性に疑問を持ち、特定の宗教やコミュニティを中傷するために悪用される可能性があると警告している。
現地メディアのインディアン・エクスプレスも、今回の取り組みについて「すでに不安定な立場にある少数派を標的にするシグナルとして作用する可能性がある」と指摘している。
また、食べ物や食習慣はカースト制度と深く関わっており、インドでは非常にデリケートな話題である。実際に、インドでは低カーストの不潔な手で調理された食べ物を食べてはいけないという信念から、高カーストは低カーストの食べ物を受け入れないことがある。
そのため、食品安全もインドにおける主要な関心事となっている。インド食品安全基準局(FSSAI)によると、安全基準を遵守していない食品によって毎年6億件の感染者と40万人の死亡者がインド国内で発生している。
BBCは、このような食品に関するインドの規範やタブーが、宗教間の衝突に発展することがあり、インド社会の根深い対立の要因となっていると分析している。