9月にレバノンで発生したポケベルや無線機の一斉爆発にイスラエルが関与していたことを同国のネタニヤフ首相が認めた。
11日(現地時間)「USAトゥデイ」は、9月中旬にレバノン各地で多数の死傷者が発生したポケベルと無線機の一斉爆発に関して、ネタニヤフ首相が10日の閣議で作戦を承認したことを明かしたと報道した。
一斉爆発により、レバノン各地とシリアの一部地域で少なくとも39人が死亡し、レバノン政府はおよそ3,000人の市民が負傷したと発表している。
レバノンに拠点を置く親イラン武装組織「ヒズボラ」は、一斉爆発により約1,500人の組織員が手足の切断や失明などの重傷を負ったと述べた。
ヒズボラは通信傍受などを防ぐため、携帯電話の代わりにポケベルを使用していたという。
イスラエルはこの作戦を数年間にわたり準備してきたともいわれている。
その後、イスラエルはヒズボラ指導部の壊滅に乗り出し、9月27日には空爆でヒズボラの最高指導者ハッサン・ナスララ師を殺害した。
イスラエルメディア「タイムズ・オブ・イスラエル」は、ネタニヤフ首相はポケベルや無線機の一斉爆発、ハッサン・ナスララ師の殺害について、国防当局の幹部が反対したにもかかわらず強行したと報じた。
これらの発言や報道は、イスラエルの戦略をめぐって深い対立にあったガラント国防相の解任後に出たものだ。
なお、ガラント氏の後任にはカッツ外相が就任する。
ガラント氏は自身が解任された理由として、超正統派ユダヤ教徒の徴兵免除の特権を廃止すべきとしたことや、昨年10月7日に発生したパレスチナのイスラム組織「ハマス」のガザ地区襲撃とその後のガザ戦争に関する国家委員会の調査の必要性を主張したためだと語った。
USAトゥデイは、アメリカ政府と良好な関係にあったガラント前国防相の解任について、イスラエル問題の専門家らは、ネタニヤフ首相が政権内の反対勢力を排除しようとしているのではないかと懸念していると伝えた。