健康に良い飲み物といえば、緑茶やコーヒー、健康ジュースが思い浮かぶはずである。しかし、寒い季節に入り、甘くて温かい飲み物が注目されている。それが「ココア」だ。ここでは、ココアに含まれる健康効果について紹介する。
ココアには抗酸化物質であるポリフェノールが豊富に含まれている。ソウル大学食品工学科のイ・ヒョンジュ教授の研究チームが、アメリカ臨床栄養学会誌に発表した論文によると、1日1杯ココアを飲むことで癌予防が期待できるという。
1杯のココアには、1杯の赤ワインの2倍、緑茶の3倍、紅茶の5倍に匹敵するポリフェノールが含まれているという。また、アメリカのハーバード大学医学部の研究によると、ココアに含まれるフラボノイドが血液循環を改善し、血圧を下げ、心臓病や糖尿病の予防に加えて老化防止にも効果があることが分かっている。さらに、ココアは末梢動脈疾患の予防にも効果があるとされている。末梢動脈疾患とは、脚の動脈が狭くなり血流が滞ることで発症する疾患だ。
アメリカのノースウェスタン大学の研究チームは、60歳以上の末梢動脈疾患患者44名を対象に、6ヶ月間にわたりココアを1日3杯飲むグループとプラセボグループに分けて調査を行った。その結果、MRI(磁気共鳴画像)検査でココア摂取グループの脚部血流が20%増加していることが確認された。これは、ココアに含まれるエピカテキンがミトコンドリアの働きを活発にし、血流と筋肉の健康を改善したためだという。
ココアは気分を高めるのにも役立つ。ココアの甘みがエンドルフィンの分泌を促進し、憂鬱な気分を軽減するからだ。また、代謝や血液循環を改善するため、記憶障害のある初期認知症患者にもおすすめの飲み物だ。ただし、過剰摂取には注意が必要である。1日にココアを2杯以上飲むと、推奨糖分摂取量を超える可能性があるからだ。
世界保健機関(WHO)は1日の糖分摂取量を50gと推奨しているが、食品医薬品安全処によるとカフェなどで販売されているココアには平均31gの糖分が含まれている。これは推奨量の約60%に相当する。さらに、ココアには糖分だけでなく、ナトリウムも含まれているため、この点も注意すべきポイントだ。製品によって異なるが、ココアスティック1本(30g)につきナトリウムが50〜100mg含まれており、粉末を牛乳に溶かしたり、他の飲み物と混ぜたりすると、さらに多くのナトリウムを摂取することになる。また、ココアは1杯あたり100〜150kcalと、間食やデザートにしてはカロリーが高めである。ココアパウダーを選ぶ際には、糖分やナトリウムの含有量が少ないものを選ぶのが賢明だ。