アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長は、14日に「経済は金利引き下げを急ぐ必要があるという兆候を示していない」と発言した。
パウエル議長は、テキサス州で開催されたダラス連銀主催のイベントでこのように述べた。
議長は「アメリカの経済成長率は世界の主要国の中で群を抜いて高い」とし、「現在の経済状況は、我々が金利政策を慎重に行うことを可能にしている」と語った。アメリカ経済が堅調であるため、FRBは金利引き下げのペースについて慎重に判断するための十分な時間を確保できるとの見解を示した。
また、パウエル議長は「インフレは時に波があることがあるが、引き続き低下するだろう」と確信を示した。
この発言は、前日に発表された10月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比2.6%上昇したことを受けてのものだ。10月のCPIは9月(2.4%)と比較して0.2ポイント上昇し、年率ベースでのインフレが7か月ぶりに反転したことを示している。さらに、10月の生産者物価指数(PPI)は前月比0.2%の上昇を記録し、これは9月の上昇率0.1%(改定値)を上回るものであった。
エネルギーと食品を除くコアPPIも前月比0.3%上昇し、専門家予測(0.2%)を上回る結果となった。前年同期比では3.5%の上昇を示している。FRBが金融政策で重視大幅利下げする個人消費支出(PCE)価格指数の算出にも含まれるため、PCE価格指数の上昇要因となる可能性がある。FRBはPCE価格指数をCPIよりも消費者の行動を反映し、より正確な物価指標だと考えている。
パウエル議長はこの日、「インフレが我々の目標に向かって低下するかを注視する」と強調した。FRBの物価上昇率目標は2%である。
FRBは来月17日から18日にかけて連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、金利政策の引き下げを決定する予定だ。
市場の参加者は、次回のFOMCでFRBが基準金利を0.25ポイント引き下げ、その後は金利引き下げペースを調整すると予想している。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のフェドウォッチによると、市場参加者は来年、FRBが2回にわたり各0.25ポイントの追加利下げを行うとみている。
一方、FRBは9月に0.5ポイントの大幅利下げを実施し、先週のFOMC会合後も0.25ポイントの利下げを発表した。これにより、現時点での政策金利は4.50~4.75%となっている。FRBは昨年、インフレ抑制のため昨年金利を20年ぶりの高水準まで引き上げた後、物価上昇の圧力が再発しないように1年以上金利を据え置いている。