出産のためグアムへ渡った韓国人妊婦が死亡
米領グアムで出産を予定していた韓国人女性が、帝王切開手術後にリゾート施設で死亡する事件が起きた。
韓国メディアのMBC「ニュースデスク」が13日に報じたところによると、昨年7月、グアムの有名リゾートで30代の韓国人女性Aさんが死亡しているのが発見された。
Aさんは、リゾートから5分の距離にある現地病院で帝王切開による出産を行い、12日後に命を落とした。Aさん夫妻は、グアムへの移住を計画しており、出産予定日の1か月前に韓国国内の斡旋業者を利用してグアムに渡航していたという。
業者は、経験豊富な産後ケア専門家が24時間体制で産婦の世話をすると説明していた。この言葉を信じたAさんの夫は、仕事の都合で先に帰国し、Aさんを産後ケア専門家に任せた。
Aさんは誰の助けも得られず、一人で亡くなる
夫は「10年、20年のベテラン産後ケア専門家で、安全面についても心配ないと何度も言われていたので信頼して任せた」と説明。しかし、出産から11日後、Aさんの体調に異変が生じた。彼女は夫に「薬を飲んでも頭痛が治まらず、視野もぼやける」とメッセージを送ったという。
夫は、産後ケア専門家や現地管理人に何度も連絡し、Aさんを病院に連れて行くよう要請していた。しかし、翌日午前9時頃、Aさんはリゾートの部屋で一人で亡くなっているのが発見された。
最後の通話は前日の午後1時頃で、その後約20時間にわたり放置されていたことになる。
産後ケア専門家とAさんの部屋はわずか数歩の距離だったが、夜通しAさんのそばには誰もおらず、病院にも一度も搬送されていなかった。現地で行われた検死の結果、Aさんの死因は「肺塞栓症および血栓症」と判明した。
肺塞栓症は、血栓が肺動脈を塞ぐことで発生する。帝王切開後は発症リスクが高いため、日本では一定期間、医療スタッフが綿密な経過観察を行う。しかし、Aさんは帝王切開翌日に退院し、専門医療スタッフがいないリゾートで過ごしていたことが判明し、この悲劇の背景にさらなる疑問が浮かび上がっている。
一方、斡旋業者は責任を否定している。業者側は「個人の持病であり、当該疾患については責任を負えない」と主張している。これに対し、遺族は斡旋業者の代表と関係者を業務上過失致死の疑いで告訴した。