ニューヨーク株式市場は21日、前半の下げから後半に持ち直し、主要3指数が軒並み上昇して取引を終了した。エヌビディアは午後半ばまで軟調だったが、終値は0.5%超上昇し、メガテック7銘柄で唯一プラス圏を維持した。
この日の相場は上昇基調に転換。前日の引け後に発表された四半期決算が市場予想を上回ったものの、高まっていた期待値には届かず安く始まったエヌビディアが後半に反発、ハイテク株全体も上昇に転じた。ただ、メガテック7銘柄はエヌビディアを除き全て下落した。
この日の物色の中心はハイテク株からバリュー株、中小型株へと移行。一方、ビットコインが史上初めて9万9,000ドル(約1,533万円)を突破する中、ビットコイン保有で知られるソフトウェア企業マイクロストラテジーは売り圧力を受け急落した。
ハイテク株からバリュー株・中小型株へ物色シフト
相場の物色が移る中、ハイテク株は伸び悩んだ。ハイテク株主体のナスダック総合指数は上昇したものの、辛うじてプラス圏を維持するにとどまった。ナスダックは前日比6.28ポイント(0.03%)高の1万8972.42で取引を終了した。
大型優良株とハイテク株が幅広く含まれるものの、高株価銘柄のウエートが高いS&P500指数も上げ幅は限定的。ハイテク株の強さを背景にハイテク銘柄の構成比率が高まったS&P500は31.60ポイント(0.53%)上昇し、5948.71で引けた。
大型優良株、バリュー株30銘柄で構成されるNYダウ平均株価は、3大指数の中で最も顕著な上昇となった。NYダウは461.88ポイント(1.06%)上昇し、4万3870.35で終了。2営業日連続の上昇となった。
中小型株2000銘柄で構成されるラッセル2000指数は、この日のNY市場の主要指数の中で最大の上昇率を記録。ラッセル2000は38.48ポイント(1.65%)上昇し、2364.02まで上げた。
メガテック7、エヌビディアのみ上昇
市場を牽引してきたメガテック7銘柄の中で、唯一エヌビディアのみが上昇。エヌビディアは前日比0.78ドル(0.53%・約120円)高の146.67ドル(約2万2,715円)で取引を終えた。
前日の引け後に発表された好決算にもかかわらず、失望売りに見舞われていたエヌビディアだが、ウォール街のアナリストらが相次いで目標株価を引き上げたことで上昇に転じた。ウェドブッシュ、みずほ、シティ、バーンスタインなどが一斉にエヌビディアの目標株価を175ドル(約2万7,100円)に引き上げ。JPモルガンは170ドル(約2万6,300円)とした。
アナリストらは、最近報じられたエヌビディアの次世代AI半導体ブラックウェルのサーバー過熱問題について、さほど懸念する必要はないとの見方を示した。ブラックウェルの需要が極めて堅調で、見通しもさらに明るくなっているため、エヌビディアの成長が続くと楽観視している。
アルファベットは厳しい逆風に見舞われた。米司法省がアルファベット傘下のグーグルに検索エンジンChromeの分離を提案したとの報道を受け、会社分割への懸念が再燃。この影響でアルファベットは8.35ドル(4.74%・約1,290円)急落し、167.63ドル(約2万5,800円)まで下落した。
テスラは2日連続で下落。この日は2.39ドル(0.70%・約370円)安の339.64ドル(約5万2300円)で取引を終えた。ただし、テスラの2日間の下落幅は1.8%強にとどまり、大統領選以降では39.8%以上上昇している。
アップルは0.2%、マイクロソフトは0.4%下落し、アマゾンとメタはそれぞれ2.2%、0.4%下落した。
ビットコイン急騰の中、マイクロストラテジーは急落
仮想通貨ビットコインはこの日、史上初めて9万9000ドル(約1,533万円)を突破し、10万ドル(約1,550万円)目前に迫った。
しかし、ビットコイン保有で知られるソフトウェア企業マイクロストラテジーは、最近の急騰から一転して急落。同社は17日時点でビットコインを33万1200個保有しており、これは流通量の1.6%に相当する。
空売り専門ファンドのシトロン・リサーチがこの日、マイクロストラテジーの空売りを発表したことが株価急落の引き金となった。マイクロストラテジーは前日比76.55ドル(16.16%・約1万1860円)急落し、397.28ドル(約6万1,200円)まで下落。ただ、時間外取引では16.72ドル(4.21%・約2,600円)急反発し、414.00ドル(約6万3,800円)まで戻した。
この日の急落は、これまでの急騰の反動による調整とみられる。マイクロストラテジーは、この日の急落にもかかわらず、過去5日間の大統領選以降では依然として78%以上、年初来では530%近い上昇を記録。今年6倍以上の急激な株価上昇が投資家の重荷となっていたところに、シトロンの空売り発表を契機に一時的な利益確定の動きが広がり、株価が急落したとの見方が出ている。
原油相場、一日で反発
前日3日ぶりに下落した国際原油市場は、一日で再び上昇に転じた。需給に関する特段の材料がない中、ロシアとウクライナの戦争激化への懸念が原油価格を押し上げた。ロシアがウクライナに大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射したとの報道を受け、供給混乱の可能性が再び浮上した。
国際原油市場の指標となる来年1月渡しのブレント原油は前日比1.42ドル(1.95%・約220円)上昇し、1バレル=74.23ドル(約1万1,000円)で取引を終えた。
米国産原油の指標となるWTI原油は、この日から近月物の基準となった来年1月渡しが1.35ドル(1.96%・約210円)上昇し、1バレル=70.10ドル(約1万800円)で取引を終了。WTIは8日以来初めて1バレル=70ドルの大台を回復した。