ロシアが韓国のウクライナへの殺傷武器供給に対し強硬な対応を警告する中、すでに韓国を標的としたロシアのサイバー攻撃が始まったとの主張が浮上した。
24日(現地時間)、英国ガーディアン紙は、英ランカスター公領相パット・マクファデン氏が25日にロンドンで開催される北大西洋条約機構(NATO)サイバーセキュリティ会議で、発表予定の演説原稿を事前公開した。
ランカスター公領相は特定の省庁を率いない閣僚で、内閣府において首相に次ぐ序列2位の高官である。
マクファデン氏は演説で「クレムリンと関連する『非公式』のハクティビスト(政治・社会的目的を持つハッカー)集団が世界中でますます頻繁かつ巧妙な攻撃を仕掛けている」と指摘した。
さらに「敵対行為の規模からみて、NATO加盟国はロシアのサイバー脅威を過小評価してはならない。脅威は現実のものだ」とし、「これらの攻撃には、最近ロシアが北朝鮮軍派兵への対応として韓国を標的にしたものも含まれる」と付け加えた。
マクファデン氏が言及した「韓国を標的にした攻撃」は、今月初めに韓国政府機関や主要機関で相次いで発生したDDoS攻撃(分散型サービス妨害)を指すとみられる。7日(現地時間)午後3時21分頃、韓国のソウル中央地方裁判所、ソウル高等裁判所、ソウル家庭裁判所、ソウル行政裁判所など一部の裁判所のウェブサイトがDDoS攻撃により接続不能となった。
これに関連し、翌8日には韓国国家安保室も、法務部や国防部など政府機関へのサイバー攻撃が親ロシアのハッカーによるものだと発表した。
マクファデン氏は「ハクティビストなどのロシアのハッカー集団は、クレムリン、つまりロシア大統領府の直接統制下にはないが、ウラジーミル・プーチン大統領の方針に反しない限り、事実上の免責を得ている」と主張した。
彼は今回の演説でロシアの極秘組織「29155部隊」にも言及する予定だという。
29155部隊は、ロシア軍情報機関である情報総局(GRU)傘下の特殊部隊で、英国や欧州で極秘の暗殺やサイバー攻撃を実行してきた。
一方、韓国に対するロシアの公開警告は、北朝鮮軍のロシア派兵後、ジョー・バイデン米政権を皮切りに、英国やフランスが自国製長距離ミサイルを用いたロシア本土攻撃を相次いで許可する中で発せられた。
これに先立ち、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は、7日の記者会見で「これまではウクライナに人道的・経済的支援を提供してきたが、北朝鮮軍派兵という変数が生じ、状況が変わった」とし、「北朝鮮軍が現代戦の経験を積めば我々の安全保障に致命的な問題となりうるため、従来の人道的観点からの支援から、今後は北朝鮮軍の関与度に応じて段階的に支援方法を変更していく」と述べた。
さらに「武器支援も排除しない」と明言し、殺傷武器の支援可能性に注目が集まった。
24日、ロシアのアンドレイ・ルデンコ外務次官は、ロシアのメディア「タス通信」の取材に対し、「韓国製武器がロシア市民の殺傷に使用されれば、両国関係が完全に破壊される可能性があることを韓国は認識すべきだ」と警告した。
同次官は「我々はもちろん、あらゆる必要な手段でこれに対応するつもりだ。それは韓国自身の安全強化にはつながらない可能性が高い」とし、「韓国政府が短期的で機会主義的な外部の誘惑に従うのではなく、長期的な国益を優先して考慮することを望む」と付け加えた。