臀部の筋肉は、人の体で極めて重要な部位だ。特に大殿筋と小殿筋の間に位置する中殿筋は、全身のバランスと健康を維持する役割を担う。臀部筋肉の様々な利点と日常生活での鍛え方を探ってみよう。
臀部筋肉、とりわけ中殿筋は上半身と下半身を繋ぎ、体全体のバランスを整えるコアマッスルだ。体内で最大級の筋肉群に属する中殿筋は、腰の安定性の源でもある。
臀部、腰、首へ繋がる筋肉のどこか一箇所でも問題が生じると、体全体のバランスが崩れ、骨格に大きな負担がかかる。また、この部位が弱くなると、体のあちこちに余分な脂肪がつき、内臓脂肪の蓄積を招きやすい。
臀部筋肉の強化は、単に運動能力の向上だけでなく、健康全般にわたって好影響を及ぼす。臀部筋肉が発達すると、血糖値の調整が容易になり、基礎代謝量が増加し、骨折のリスクも低下する。
例えば、臀部筋肉の発達により血糖値の調整が容易になり、糖尿病の予防に寄与する。肝臓で利用された後の余剰ブドウ糖は、筋肉で消費される必要があるが、臀部筋肉が大きければこの問題は自然に解決される。臀部筋肉が強ければ、心臓病やがんの発症率も低下する。これは臀部筋肉が血液循環を促進し、代謝を円滑にするためだ。
韓国江北三星病院（カンブクサムスン病院）家庭医学科のカン・ジェホン教授は「臀部筋肉を強化すると糖尿病の発症率が90%低下し、心臓病やがんの発症率が20%低下する」と述べ、「筋肉がブドウ糖を吸収して効率的に利用すれば、血糖値の調整が上手くいく。しかし、筋肉量が少ない場合、血糖値の調整がうまくできずに糖尿病につながるリスクが高まる可能性がある」と説明した。また、臀部筋肉を鍛えることは美容面でも利点がある。中殿筋を鍛えて持ち上がった臀部は、脚を長く見せて服のシルエットを引き立てる効果がある。
韓国体育大学のオ・チェグン教授は臀部筋肉の鍛え方を紹介し、「臀部をクッションのように使うのは危険だ」と述べ、「長時間座り続けてはいけない」と警告した。彼は「椅子からすばやく立ち上がって座ることを繰り返すだけでも、臀部筋肉の衰えを防ぐことができる」と説明し、「その際、膝が足先より前に出ないよう臀部を後ろに引くイメージで、臀部の力だけで立ち上がり、臀部が椅子に触れそうになったら触れる前にすぐに立ち上がるようにする」とアドバイスした。さらに、歩幅を広げて歩くことも臀部の鍛えに効果的だと話し、「臀部に力を入れて歩幅を広くして歩けば、日常生活の中で臀部筋肉を強化できる。また、臀部に力を入れて階段を上るとさらに効果的だ」と付け加えた。