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2025年01月16日木曜日
ホームニュース「風に髪をなびかせて踊ることが罪」イラン政府に抵抗し続けたラッパー、拷問を受けながらも再審で釈放

「風に髪をなびかせて踊ることが罪」イラン政府に抵抗し続けたラッパー、拷問を受けながらも再審で釈放

イランで反政府デモを支持し、政権に抵抗してきた有名ラッパー、トゥマズ・サレヒ氏(Toomaj Salehi/32歳)がついに釈放された。

2日(現地時間)、CNNなど海外メディアによれば、サレヒ氏は、イラン・エスファハーンの刑務所から釈放されたという。サレヒ氏は過去2年間、投獄と釈放を繰り返し、合計で753日間の獄中生活を送っていた。彼の苦境は、2022年10月の反政府デモに参加したことが原因となっていた。

サレヒ氏は当時、イラン全土で広がった「ヒジャブ抗議デモ」に参加し、政権批判を行ったことが原因で逮捕された。彼は街頭で女性の権利を訴え、「風に髪をなびかせて踊ることが罪になり、勇気を持って正直であることも罪になる」という歌詞のラップを発表した。これにより、抵抗運動の中心的な存在となった。また、彼のラップの歌詞には「政府は44年間失敗を繰り返してきた」という一節もあり、1979年のイラン「イスラム革命」以来続くイスラム神権政治に対して公然と批判の声を上げた。

サレヒ氏は、政府による暴力的なデモ弾圧を批判する楽曲を発表したことを理由に、「神に敵対し、世界に腐敗と背徳を広めた罪(モフセデ・フィル・アルズ)」などの容疑で起訴され、2023年7月に禁錮6年3か月の判決を受けた。しかし、その控訴が認められ、最高裁判所で原審が破棄され、差し戻し判決を勝ち取った。

釈放は4か月後となったが、同年12月、サレヒ氏は逮捕時に拷問を受けたと主張する動画メッセージを公開した。これを受け、虚偽の事実を流布したとして再逮捕され、暴力扇動などの容疑が追加された。2024年4月には、死刑判決を受け、重罪である「地上における腐敗の拡散」(Corruption on earth)罪が適用された。だが、イラン最高裁は昨年6月、下級審の判決を破棄し再審を命じたため、死刑判決は覆され、サレヒ氏は約6か月ぶり釈放された。

釈放されたこの日、サレヒ氏はSNSに投稿した文章中で、支持者に対して「過去2年間、私を支えてくれた皆さんに、言葉では表せないほどの感謝をしている」と感謝の意を表明した。

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