8日(現地時間)直近数週間にわたり、シリアの主要都市を次々と制圧してきた反政府勢力が、ついに首都ダマスカスをも制圧した。
反政府勢力は公的機関を掌握し始め、これまで独裁者として君臨してきたシリアのアサド大統領は反政府勢力の首都進入後、空路で逃亡したとみられている。
「AP通信」など海外メディアの報道によると、この日、反政府勢力の中心に立ち、進攻を率いる「シャーム解放機構(HTS)」は首都ダマスカスを掌握し、アサド大統領からシリアが「解放された」と宣言した。
2010年12月に起こったチュニジアでの「ジャスミン革命」を発端にアラブ諸国で発生した民主化運動「アラブの春」の影響を受け、2011年にシリアで民主化運動に参加した市民をアサド政権が武力弾圧したことをきっかけに勃発したシリア内戦だが、2014年には内戦の混乱に乗じて、「イスラム国(IS)」まで勢力を拡大するなど、12年以上にわたり緊張状態が続いていた。
内戦が始まって以降、これまでに62万人相当が犠牲となり、アサド政権は自国民に化学兵器を使用したとして、国際社会から非難を集めていた。
先月30日には、反政府勢力が8年ぶりに北部に位置する第2の都市アレッポを奪還し、その後、中部の要衝ハマを制圧するなど、残るは首都ダマスカスのみとなっていた。