5.1 C
Tokyo
2024年12月19日木曜日
ホームニュース米医療保険大手CEOの銃撃事件、薬莢に残されたメッセージが示す「保険金支払い拒否」の恨み

米医療保険大手CEOの銃撃事件、薬莢に残されたメッセージが示す「保険金支払い拒否」の恨み

4日午前(現地時間)、米国ニューヨーク市マンハッタンで発生した米最大の健康保険会社ユナイテッドヘルスケア代表の銃撃死事件について、ニューヨーク警察は現場で回収した薬莢に犯人が残したとみられるメッセージを確認し、分析している。事件発生から24時間が経過した現在も犯人の行方は不明だが、警察は犯行動機を示唆する可能性のあるこのメッセージに注目している。

ニューヨーク・タイムズ(NYT)などによると、警察は現場で発見した9mm口径の薬莢の弾道検査を実施中だ。薬莢には「遅延(delay)」、「拒否(deny)」、「防御(defend)」、「供述(depose)」という文字が刻まれていたという。

NYTは「保険会社が患者の請求に対して、保険金支払いを回避する方法を犯人が示唆した可能性がある」と報じている。被害者のブライアン・トムソン氏が代表を務めていたユナイテッドヘルスケアは、これまで保険金請求の拒否をめぐり患者や議会から厳しい批判を受けてきた。10月の上院報告書によると、同社の「急性期後ケア」に対する保険金支払い拒否率は、2020年の10.9%から2022年には22.7%に上昇していたという。医師や病院が治療の必要性を認めても、保険会社が保険適用基準に合致しないと判断すれば、患者が高額な医療費を負担せざるを得ない状況に陥る可能性がある。

これに関連し、米紙ニューヨーク・ポストは、薬莢に刻まれたメッセージが2010年に保険業界を批判して出版された書籍のタイトルに類似していると指摘した。ラトガース大学ロースクール名誉教授のジェイ・フェインマン氏が著した同書のタイトルは「遅延、拒否、防御」で、副題は「保険会社が保険金を支払わない理由とあなたができること」だ。同紙は警察筋の話として「犯人が残したメッセージを調査中」と報じており、保険金不払いへの恨みによる犯行の可能性も視野に入れて捜査が進められているとみられる。

この日、警察は容疑者とみられる人物の写真2枚を公開した。写真はマンハッタンのアッパー・ウエスト・サイドにあるホステルで撮影されたもので、警察は犯人が銃撃前にここに滞在していたと推測している。捜査当局は現時点で犯人の身元を特定できていないとしている。

4日午前6時44分(現地時間)、セントラルパーク近くの「ヒルトンホテル・ニューヨーク・ミッドタウン」前の路上で、投資家会議に出席するためホテルに向かっていたトムソン氏が何者かに銃撃され死亡した。警察は容疑者の写真を公開し、1万ドル(約151万円)の懸賞金をかけるなど、逮捕に向けて総力を挙げている。

関連記事

コメントを書く

あなたのコメントを入力してください。
ここにあなたの名前を入力してください