人権弾圧で悪名高いチェチェン共和国のラムザン・カディロフ指導者の娘が、現地でK-POPカフェ兼レストランを運営していると報じられた。
英国の日刊紙「The Times」は6日(現地時間)、カディロフの娘タバリック・カディロバ(20歳)がチェチェン共和国の首都グロズヌイで運営するK-POP店舗「チコ」を紹介した。
K-POPカフェ兼レストラン「チコ」では、K-POPが流れる店内で、キンパやトッポッキといった韓国料理が提供され、韓国ドラマが上映されている。壁には韓国風の装飾が施され、従業員は韓国語が書かれたTシャツを着用している。さらに、韓国のパスポートを模したクーポンも配布している。
この店舗を運営しているカディロバは18歳の頃から事業を開始し、チェチェン内外で複数のレストランやフィットネスクラブを経営している。ロシア全土でインスタグラムが禁止されているにもかかわらず、「チコ」はインスタグラムアカウントを保有しており、注目を集めている。
ラムザン・カディロフはプーチン大統領の側近として知られ、反対勢力に対する厳しい弾圧や人権侵害が批判の的となっている。特にウクライナ戦争での軍事支援や、同性愛者への迫害が問題視されている。
「The Times」は、LGBTQの権利を公然と支持するBTSのファン向けにこのカフェが設けられた点を強調している。チェチェンではBTSのファンも嫌がらせを受けることがあり、2019年にはグロズヌイでのBTSライブコンサート上映が中止された例がある。
さらに今年4月には、チェチェン文化部が音楽のテンポを80~116BPMに制限する規制を導入しており、音楽やエンターテインメント分野に対する統制が続いている。
チェチェン専門家ハロルド・チェンバース氏は、「カディロフの子供たちはチェチェンの法や伝統に縛られず、潜在的な未来の指導者として特別な地位にいる」と指摘している。カディロバ以外の子供たちも高位職に就いており、25歳の娘アイシャトはチェチェン副首相、18歳の長男アクマトはスポーツおよび青少年政策部長官を務めている。