酒の効果は一時的だ。疲れた体と心を癒すために酒を選ぶという行為は、むしろ心体に深刻な悪影響を及ぼす可能性がある。飲酒が我々のメンタルにどのような影響を与えるのかを見ていく。
酒は脳の神経伝達物質のバランスを崩す。酒を飲むと抑制が解け、自信が湧いてくることもあるが、それは束の間にすぎない。酔いが覚めると、怒り、うつ、不安といったネガティブな感情がより強くなる可能性がある。また、酒は脳の情報処理速度を遅らせ、判断力を鈍らせる。長期的には、酒は脳の神経伝達物質を消耗させ、より多くの飲酒を促し、依存の悪循環に陥らせる。
過度の飲酒は短期的にアルコール依存症、睡眠障害、胃腸障害、片頭痛などを引き起こす恐れがある。長期的には心臓病、脳卒中、高血圧、肝疾患、がんなどのリスクを高める。これらは人間関係の断絶、失業、経済的困窮といった社会問題につながる可能性もある。身体的健康問題は精神健康にも多大な影響を及ぼす。
ある研究によると、飲酒者は精神健康問題を抱える可能性が高いという。うつ病、不安障害、精神病などの精神疾患は飲酒と関連がある。特に不安障害を抱える患者は、酒により一時的に不安を和らげることもあるが、長期的に見るとアルコール依存症に発展する可能性がある。また、過度の飲酒は自傷行為や自殺衝動を引き起こす恐れがあるため、細心の注意が必要だ。このような衝動を感じた場合は、厚生労働省の「こころの健康相談統一ダイヤル」に相談することを勧める。
飲酒問題の解決には専門家の助言が不可欠だ。アルコール依存症の場合は主治医に相談し、保健福祉センターで支援を受けられる。突然の断酒は危険な場合があるため、医師の助けを受けるべきだ。
飲酒量を減らすには、飲酒の誘惑を避けることが重要だ。酒場の代わりに映画館、ボウリング場、料理教室など他の活動を探すことを勧める。信頼できる人に禁酒や節酒の計画を打ち明けるのも効果的だ。