景気後退に直面している中国は、先月に続き、事実上の基準金利である最優遇貸出金利(LPR)を再び据え置いた。市場専門家らは、中国が今月の米国の利下げにもかかわらず、為替防衛よりも景気刺激策に注力していると分析している。
米経済メディアのCNBCは、中国人民銀行は20日、住宅ローンの指標となる5年物LPRを3.6%、一般貸出の基準となる1年物LPRを3.1%でそれぞれ据え置くと発表した。
人民銀行は10月、5年物と1年物LPRをそれぞれ0.25ポイント引き下げた後、先月は据え置いていた。CNBCは、米連邦準備制度理事会(FRB)が18日(現地時間)に政策金利を0.25ポイント引き下げたものの、人民銀行の金融緩和策には大きな影響を与えなかったと分析した。みずほ証券のFarzin Azarm(ファージン・アザーム)米国法人証券取引執行役員は、人民銀行が為替防衛に動かなかったと指摘した。
中国などの新興市場国は、外国人投資資金の流出を防ぐため、米国より高い金利を維持する傾向がある。この日の人民元相場は、前日比約0.03%下落し、1ドル=7.29元前後で取引された。
中国共産党は9日の中央政治局会議で、2011年以来維持してきた「積極的な財政政策と穏健な金融政策」の方針を「より積極的な財政政策と適度に緩和的な金融政策」に転換すると決定し、景気刺激に向けた追加の金融緩和策を示唆した。野村証券は最近の報告書で、人民銀行が来年第1四半期と第2四半期に1年物と5年物LPRをそれぞれ0.15ポイントずつ連続して引き下げると予想している。