ベトナムで玉ねぎを切っていた60代女性が突然倒れ、昏睡状態に陥る出来事が発生した。
現地メディア「VNエクスプレス」などによると、ベトナム北部クアンニン省在住の60代女性Aさんは、自宅で大量の玉ねぎを処理していたところ、突然意識を失い倒れたという。
Aさんはすぐに病院に搬送され検査を受けた結果、呼吸不全や両肺の収縮、換気不全、さらには全身に広がる紅斑などの症状が確認された。医療チームは、Aさんが玉ねぎから発生するガスを吸い込み、アレルギー反応を引き起こした可能性が高いと推測している。一度に多量の玉ねぎを扱ったことで「アナフィラキシーショック」が誘発されたと見られている。
特定の物質、体が深刻な過敏反応を引き起こす
アナフィラキシーショックは、特定の物質に対して体が重度の過敏反応を引き起こす現象だ。微量の接触でも全身に症状が現れ、命にも関わるアレルギー疾患である。
アナフィラキシーの原因は幅広い。小児では卵や牛乳、ナッツ、小麦粉が主な原因となる一方、成人ではエビや海産物、小麦粉が主な原因となる。また、蜂刺されや薬剤(アスピリン、抗生物質、造影剤、抗がん剤など)、ワクチン、添加物も原因になり得る。さらには運動もアナフィラキシーを引き起こす可能性がある。
アナフィラキシーの症状は、軽度の場合、顔にチクチクした感覚を覚えたり、皮膚や粘膜にじんましんやかゆみが現れる程度にとどまる。しかし、重度になると、鼻水や鼻づまり、呼吸困難、喘鳴(気管支が狭くなり、ゼーゼーという音を伴う呼吸音)、低酸素症などの症状が現れることもある。また、血圧低下により脳への血流が減少し、めまいや意識喪失が起こる場合もある。喉頭部に血管浮腫が生じた場合、気道が塞がれ窒息の危険性がある。
アナフィラキシーショックを防ぐ最善の方法は、原因となる食品や物質を徹底的に避けることである。しかし、万が一、摂取や接触によって症状が現れた場合は、早急に病人に通報し、適切な治療を受ける必要がある。重度のアレルギー体質の人は、エピペンを常備することも推奨される。エピペンは交感神経を活性化し、アナフィラキシーショックの症状を迅速に緩和する効果がある。適切なタイミングで治療を受ければ回復するが、治療が遅れると呼吸困難や低血圧、意識不明などの症状を引き起こし、最悪の場合、命を失う危険性もある。