今夏のパリ五輪で女子ボクシング66キロ級金メダルを獲得したアルジェリア出身のイマネ・ヘリフ(25)は、大会中から「XY染色体」を有していることや圧倒的な体格・体力差で勝ち上がっていったことから「性別論争」を巻き起こしたが、現在もなお騒動は続いている。
五輪に関するニュースを伝えるメディア「Inside the Games」は最近、「AP通信」がヘリフを「今年の女性アスリート」の候補に選出したことに対し、称賛と批判の賛否両論が殺到していると報じた。
この賞はAP通信や加盟社のスポーツ専門記者74人の投票で決まるが、投票の結果、女子バスケットボールに革命を起こしたといわれるアメリカのケイトリン・クラークが「今年の女性アスリート」に選ばれ、ヘリフはアメリカ女子体操界の伝説、シモーネ・バイルズに次ぐ3位となった。
しかし、ヘリフが「今年の女性アスリート」の候補に挙がること自体に疑問を呈する声もある。
元競泳選手のライリー・ゲインズが女性アスリートの権利を保護することを目的に運営しているポッドキャスト「Gaines for Girls」は「カリフが他の女性アスリートの機会を奪っている」と批判した。
「ESPN」の元記者のチャーリー・アーノルドは「生物学的な性の区別に混乱をもたらす決定だ」と指摘した。
論争の発端は、ヘリフは昨年の世界選手権では性別適格性検査で男性の性染色体「XY染色体」を持っていることが明らかになり、国際ボクシング協会から失格処分を受けたが、その後、国際オリンピック委員会がヘリフのパリオリンピック出場について、「参加資格と参加規程、大会運営を管理するパリ2024ボクシングユニットが定めたすべての医療規定を遵守している」とし、パスポート上の性別を基準に認めたことだ。
同様に、台湾のリン・ユーティンも世界選手権では性別適格性検査で男性の性染色体「XY染色体」を持っていることで失格になったが、パリ五輪に出場し、57キロ級で金メダルを獲得し、議論を呼んだ。
両選手とも「性別論争」が過熱する中で金メダルを手にした。
一方、ヘリフ側は自身に関する虚偽の報道やSNS上の誹謗中傷に対し法的対応を準備中で、フランス当局にも告訴状を提出した。
ヘリフは性自認に対する無分別な攻撃は重大な人権侵害だと主張している。