子どもは顎や歯の成長が急速に進むため、適切なタイミングで歯列矯正を始めることが重要である。矯正の時期を逃すと、将来的により大きな問題につながる可能性もある。特に、反対咬合（受け口）など骨格の問題は早期に治療し、健康的な歯の成長をサポートする必要がある。それでは、成長期の子どもたちにはどの時期に矯正を始めるのがベストなのだろうか。
乳歯が抜け、永久歯が生え始める6〜7歳の頃は、前歯の間が開いたり歯列が整わなかったりすることがある。これは成長過程で起きる自然な現象だ。しかし、上顎と下顎のバランスが崩れていたり、上顎の幅が狭い場合は、早期の治療が必要だ。特に「反対咬合」の場合には、早期に矯正を始める必要がある。反対咬合とは、下顎が上顎より前に出て、上の歯と下の歯が逆に噛み合う状態で、通常7〜8歳頃に治療を行うことが一般的である。
ソウル大学歯科病院のイ・ミヨン教授（歯科矯正科）は、「反対咬合は上顎の成長が下顎に妨げられるため、上顎の成長を促進する治療が必要だ」と説明する。治療には、1日12〜14時間、6ヶ月から1年ほどフェイシャルマスクを着用する方法が一般的だ。
一方、下顎の成長が不足している「上下顎前突」の場合は、上顎の成長を抑え、下顎の成長を促進する治療が行われる。イ教授によれば、「成長期の子どもは顎の骨が完全に固まっていないため、小さな力でも矯正効果が得られる」とのことだ。
子どもが転倒や衝突によって歯に外傷を負うケースも少なくない。特に上顎の前歯に集中することが多い。慶熙（キョンヒ）大学歯科病院のチェ・ソンチョル教授（小児歯科）は、「乳歯の外傷は永久歯の形成に影響を及ぼす可能性があるため、レントゲン検査など正確な診断が不可欠だ」と指摘する。永久歯が完全に抜けた場合は、5分以内に再植するか、牛乳や生理食塩水に保存し、すぐに歯科医院を受診することが重要である。
歯の外傷後に変色が見られる場合は、経過観察を行いながら神経治療が必要かどうかを判断する。変色した乳歯に炎症が起きた場合は、神経治療や抜歯を検討する必要がある。不正咬合は、歯列の問題である歯性不正咬合と、顎の成長異常による骨格性不正咬合に分けられる。成長期には骨格の矯正を優先し、成長が終わった後の治療範囲を最小限に抑えることが目標である。
慶熙大学歯科病院のアン・ヒョウォン教授（矯正科）は、「矯正治療は6〜7歳頃から始め、歯や骨格の問題を把握し、治療の必要性を判断することが大切だ」とアドバイスする。