アメリカのトランプ次期大統領が広範囲にわたる一律関税を正当化しようと、国家経済緊急事態の宣言を検討していることが明らかになった。
8日(現地時間)「CNN」は4人の事情通の話を引用してこの内容を報じた。
国家経済非常事態を宣言することで、非常時に輸入を一方的に管理する権限を大統領に与える「国際経済非常権限法(IEEPA)」を使って、新たな関税プログラムを構築できるようになる。
事情通の1人は「同法は国家安全保障上の理由により必要であることを証明するといった厳格な要件なしに、関税の適用方法に関する広範な権限を与えるため、トランプ氏は注目している」と説明した。
さらに「あらゆる選択肢を検討している」とし、緊急事態宣言に関し、活発な議論が行われていることを認める証言も得た。
トランプ氏は前政権時、2019年にもIEEPAを利用して、メキシコがアメリカに入国する不法移民を減らす措置を講じない場合には、メキシコからのすべての輸入品に対して、5%の関税を課し、その後、25%にまで引き上げると警告をしたことがある。
当時はメキシコ当局者がワシントンに赴き、1週間にわたる交渉の結果、「メキシコでの待機」を義務とする政策を復活することで、実施されることはなかった。
トランプ氏の政権移行チームは緊急事態宣言以外にも、関税強化に向けた様々な法的手段を模索しているという。
トランプ氏の補佐官はCNNに対し、「トランプ氏は関税に関し、広範な権限を有しており、そのための法的根拠も多く存在する」と述べ、「IEEPAも手段の1つだ」と答えた。
そして、1930年に制定された関税法第338条を利用する可能性もあるという。
この条項はアメリカとの貿易で差別的な待遇をしているとみなされる国に対し、大統領が新たな関税、または追加関税を上限50%まで課すことを認めている。
大統領選中、アメリカに輸入されるすべての輸入品に10%、もしくは、20%の関税を一律に課すと公言してきたトランプ氏だが、大統領選勝利後すぐに、メキシコとカナダがフェンタニルなどの麻薬や不法移民流入の取り締まりに特別な措置を講じない場合、両国からのすべての輸入品に25%の関税を課し、そのほか、中国からの輸入品には追加で10%の関税を就任初日に課すと宣言している。