先月29日(現地時間)、100歳で逝去したジミー・カーター第39代米大統領の国葬が執り行われ、5人の歴代・現職大統領が参列した。今月2度目の就任式を控える共和党のドナルド・トランプ次期大統領は、以前の政敵である民主党のバラク・オバマ元大統領と笑顔で言葉を交わした。
政治専門メディア「ザ・ヒル」など現地メディアは、9日午前10時から約2時間、ワシントンD.C.の大聖堂でカーター氏の葬儀が執り行われたと報道した。式典にはジョー・バイデン大統領、オバマ氏、ジョージ・W・ブッシュ元大統領、ビル・クリントン元大統領、そして次期大統領のトランプ氏が出席した。2016年の大統領選でトランプ氏と対決したヒラリー・クリントン元国務長官の姿も見られた。
20日の就任式を控えるトランプ氏は、オバマ氏の隣席に着いた。式典開始前、二人が長話を交わす様子が目撃され、笑顔も見せていた。トランプ氏は、初期政権で副大統領を務めたが後に決別し、昨年の共和党予備選で対立したマイク・ペンス元副大統領とも再会し、握手を交わした。
オバマ氏はこの日、カマラ・ハリス副大統領とも挨拶を交わした。隣席のトランプ氏はハリス氏と会話を交わさなかった。昨年の大統領選で民主党候補としてトランプ氏と対決したハリス氏は、オバマ氏の他にブッシュ氏とも挨拶を交わし、式典中は終始正面を見つめていた。「ザ・ヒル」は、ハリス氏がバイデン氏に対して「冷淡な」態度を示したと報じた。以前から現地メディアは民主党内部でバイデン氏とハリス氏の関係が良好でないと報じていた。昨年の大統領選で民主党候補に選出されたバイデン氏は、高齢を理由に同年7月にハリス氏に候補の座を譲ったが、ハリス氏が敗北したため微妙な立場に置かれた。バイデン氏は8日に公開されたUSAトゥデイのインタビューで、自身が大統領候補を辞退していなければ、昨年11月の大統領選でトランプ氏に勝利できた可能性があったと主張した。
この日の式典には、他にもJ・D・バンス次期副大統領、カナダのジャスティン・トルドー首相、アントニオ・グテーレス国連事務総長、米上下両院議員らが参列した。米政府機関と証券市場は、2018年12月のジョージ・H・W・ブッシュ元大統領の葬儀以来5年ぶりとなる今回の国葬に合わせて休業した。カーター氏の棺は国葬後、大統領専用機として使用されるボーイング747で故郷のジョージア州プレーンズに運ばれた。その後、カーター氏が教会学校の教師を務めていた教会で個人的な礼拝が行われ、自宅前の家族墓地で妻の隣に埋葬された。