自宅で心拍数を測定した際、1分間に66回以上の場合、それ未満の場合と比較して死亡リスクが約2倍高くなるという研究結果が報告された。
先月14日、帝京大学医学部公衆衛生学科の菊谷美紗弘教授の研究チームが、アメリカ心臓協会の学術誌「Journal of the American Heart Association」を通じて、この研究結果を発表した。
心拍数は、緊張や姿勢の変化など、わずかな要因にも影響されやすいため、病院での測定よりも自宅で測定した心拍数がより正確だという意見があるが、これを裏付ける研究結果はこれまで存在しなかった。
研究チームは、自宅で測定した脈拍の正確性を確認するため、457の医療機関で診療を受けている軽度から中等度の高血圧患者3,022人を対象に、7.3年間にわたって追跡調査を実施した。調査では、心房細動や深刻な心血管疾患の患者は除外され、高血圧治療前後に自宅で5日間、毎日脈拍を測定するように指示された。医療機関でも脈拍の測定が行われ、被験者は自宅で測定した脈拍数を基に5つのグループに分けられ、死亡リスクや心血管疾患との関連を分析した。
その結果、自宅で測定した脈拍数が死亡リスクを予測するのに有効であることがわかり、脈拍数が高いほど、死亡や心血管疾患のリスクも増加することが確認された。特に、自宅での脈拍数が66.4回/分以上になると、死亡リスクが約2倍に増加し、高血圧治療前の基準では67.8回/分を超えるとリスクが上昇することが示された。
研究チームは「診察室で測定した脈拍数よりも、自宅で測定した脈拍数の方が死亡リスクをより正確に予測できることがわかった」と述べ、「軽度から中等度の高血圧患者は、自宅で頻繁に脈拍を測定し、管理することで心血管疾患の発症リスクを減らせる可能性がある」と指摘した。
心拍数を測定する際は、座って安静にした状態で行うことが重要である。手首や首の動脈に指を当て、1分間脈拍を数える方法が一般的である。最近では、スマートウォッチやフィットネストラッカーなど、多くのデバイスを使って簡単に心拍数を測定できるようになっている。