米政府は4年ぶりにテロ支援国リストからキューバを除外すると発表した。キューバ政府はこの決定を歓迎しつつも、経済封鎖などの根本的な制裁も撤回すべきだと主張した。ただし、専門家らはトランプ政権が再び政権を握った場合、キューバへの制裁が再強化される可能性が高いとみている。
米のテロ支援国リストから外れたキューバ
15日、ブルームバーグ通信によると、米ホワイトハウスは14日(現地時間)、バイデン大統領が議会にこの方針を通知したと発表した。ホワイトハウスは「キューバに対するテロ支援国指定解除」のメモで「キューバは過去6か月間、国際的なテロ行為への支援を一切行っていない」とし、「キューバ政府は今後、国際テロ行為を支援しないことを約束した」と述べた。
これまで米国は何度もキューバをテロ支援国リストに掲載したり除外したりしてきた。1982年3月、南米の内戦を支援したとの理由でキューバをテロ支援国に指定し、バラク・オバマ政権下の2015年に33年ぶりに除外した。しかし、トランプ大統領は任期終了直前の2021年1月にキューバを再びテロ支援国に指定した。
バイデン政権の今回の措置は、キューバ政府がカトリックの仲裁で政治犯を釈放することに合意した交渉の結果である。米政府関係者によると、キューバは政治犯の数十名を含む、米政府が不当に拘束されていると考える人物らを、バイデン政権の任期終了となる20日正午までに釈放する見込みだ。
キューバに課された経済制裁も緩和される。テロ支援国に指定されると、武器の輸出制限、汎用品の輸出管理、米国の援助制限、金融関連制限などの制裁が課される。テロ支援国指定が解除されれば、これらの制限が解かれ、米国の金融システムも利用可能となる。
キューバ政府、「歓迎」の意向を表明
キューバのミゲル・ディアス=カネル大統領は「正しい方向性」として歓迎の意を示した。キューバ外務省はこの日、国営メディアに声明を発表し、「米国がテロ支援国リストからキューバを除外することと、第三国にも影響を与えるキューバの制限機関リストを削除する方針は正しい決定だ」とし、「キューバ政府はこの件に関与したすべての方々の貢献と細やかな配慮に感謝の意を表する」と述べた。
さらに、根本的な制裁の撤回も求めた。キューバ政府は「国民の金融取引に関する報復措置、燃料輸入の妨害、公衆衛生システムへの脅威、国内に停泊する商船への制約などが依然として存在する」とし、「違法な封鎖という根本的な障害を取り除く必要がある」と主張した。
キューバ政府は2025年のカトリック聖年を迎え、553名の受刑者を段階的に釈放する内容の書簡を教皇庁に送った。カトリック教会は25年ごとに定期聖年を宣言し、受刑者の釈放を行ってきた。これは50年ごとに特別な年を定め、奴隷解放を宣言し、借金を免除する古代ヘブライの伝統に由来するとされている。
ただし、今回の決定はトランプ政権が発足した場合、再び覆される可能性が高い。トランプ政権2期目の国務長官候補に指名された共和党所属のマルコ・ルビオ上院議員は、キューバに対する制裁を支持する立場だ。ルビオ氏の両親は、フィデル・カストロがキューバ革命後に権力を握る前に米国に移住したとされている。