イギリスのキア・スターマー首相が電撃的にウクライナを訪問し、今後100年間にわたりウクライナの安全保障を支援する協定を締結する見通しだ。
AP通信は16日(現地時間)、ウクライナの首都キーウに到着したスターマー首相は、ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領と会談し、国防・科学・通商などの分野で「100年パートナーシップ(100-Year Partnership)」条約に署名する予定だと伝えた。スターマー首相が昨年7月の就任以来、ウクライナを訪れるのは今回が初めてとなる。この条約には、バルト海、黒海、アゾフ海などでロシアに対抗し海上安全保障協力を強化し、ドローン(無人航空機)開発プロジェクトなどで協力することが盛り込まれているという。
イギリスは、ロシアがウクライナ占領地から略奪した穀物などの移動経路を追跡する体制構築にも協力する。スターマー首相はまた、ウクライナ訪問中に4,000万ポンド(約76億円)相当の戦後経済復興支援も約束する見込みだ。スターマー首相は「ウクライナを近隣のパートナーから引き離そうとするロシアのウラジーミル・プーチン大統領の野心は戦略的失敗だった」と述べ、「我々の関係はこれまで以上に緊密になり、このパートナーシップは友好関係を次の段階に引き上げるだろう」と強調した。ウクライナの最大の支援国の一つであるイギリスは、2022年2月のロシア侵攻以来、ウクライナに128億ポンド(約2兆4,323億円)に上る軍事・人道支援を提供している。
両首脳は、停戦が実現した場合には、ウクライナに西側諸国の軍隊で構成される平和維持軍を配備するというフランスのエマニュエル・マクロン大統領の提案についても協議する見通しだ。ドナルド・トランプ次期大統領は選挙戦でウクライナ支援に否定的な姿勢を示し、停戦による早期終結を主張している。これに関連し、ウクライナはロシアとの停戦交渉には安全保障が不可欠だとの立場を示している。