イギリス政府は、ヨーロッパ連合(EU)とアメリカからの訪問者に対する入国許可手数料を60%引き上げることを決定した。コスト増による観光業への悪影響を懸念する業界は反発している。
18日、「フィナンシャル・タイムズ(FT)」によると、イギリス内務省は、イギリスを訪れるEUおよびアメリカ市民が支払う手数料を60%引き上げる予定だ。現在、これらの訪問者は電子渡航認証制度(ETA)に基づき、デジタル渡航許可を申請する必要がある。
これまでは2年間有効で複数回の入国が可能な許可証を10ポンド(約1,900円)で取得できたが、新制度では、発行手数料が16ポンド(約3,000円)に引き上げられる。内務省は、この引き上げにより、年間2億6,900万ポンド(約514億円)の追加収入が見込まれると予測している。ただし、引き上げの具体的な時期は明らかにされていない。
観光業界や航空会社は、今回の決定に強く反発している。手数料引き上げが観光競争力を低下させるとの懸念からだ。アメリカ、オーストラリア、カナダなど50か国以上の国民は、アメリカのESTAプログラムをモデルにしたこの制度が今年開始されたことを受け、イギリス入国の際に許可を申請する必要があった。4月2日からは、アイルランド市民を除くEU国籍者も、この制度の対象となる。
2020年末のイギリスのEU離脱(ブレグジット)により自由な移動が終了して以来、EUとイギリス市民はより複雑な国境手続きを経験している。訪問者は、既にイギリスとEUの国境で厳格なパスポート検査を受けており、これによりユーロスターや海峡港では混乱が生じているとFTは伝えている。
イギリス国民も、今年末に導入予定だが、度重なる延期が続いているEUの新たな生体認証国境検査の影響を受けることになる。また、イギリスのETAと類似したEU独自のビザ免除プログラムも年内に導入される予定だ。