自動運転技術に改善の余地
テスラのリモート呼び出し機能に不具合
走行中の車両と衝突
かつては夢物語に過ぎなかった自動運転の時代が徐々に現実味を帯びてきている。海外では一部の地域で自動運転タクシーの正式サービスが開始され、試験運行を行う国も増えてきた。また、車間距離や走行速度を自動調整する運転支援システムは現在では広く普及している。自動運転技術の発展を牽引する企業の中でも、テスラはその存在感が際立っている。
テスラは、自社のオートパイロットやFull Self Driving(FSD)などの技術を量産車に搭載し、現在も改良を重ねている。しかし、度々報じられる不具合のニュースを見る限り、技術の完成にはまだ時間がかかりそうだ。そんな中、米当局がテスラ車両を対象に大規模な調査を開始したという。
260万台以上のテスラ車が調査対象
障害物を検知できず衝突事故が発生
7日(現地時間)、CNNやロイター通信などが報じたところによると、米国道路交通安全局(NHTSA)はテスラの車両260万台以上を対象に予備調査を開始した。この調査は、テスラの「スマートサモン(Actually Smart Summon、以下ASS)機能」に関連したもので、これまでに同機能による4件の事故が報告されている。
NHTSAによれば、2023年にヒューストンでテスラ・モデル3がスマートサモン作動中、駐車中の他の車に衝突した事例があったほか、昨年9月にはネバダ州でモデルYが突如左折し、駐車車両と接触する事故が発生している。NHTSAは、スマートサモン機能作動時に、テスラ車が柱や他の車両などの障害物を検知できていなかったことが問題であると指摘している。
制限条件のみ作動
即座に停止命令に反応せず
テスラは昨年9月、スマートフォンアプリを通じて車両を遠隔操作し、ユーザーの元へ呼び寄せる「スマートサモン機能」をリリースした。従来のスマートサモンは現代自動車グループのリモートスマート駐車支援機能と同様、前後移動のみに対応していたが、新たにリリースされたものは自動運転技術をベースにしている。ただし、公道での走行はサポートしておらず、限定された条件内でのみ作動する。
車両がユーザーから85メートル以上離れている場合、走行速度は最大4.8km/hに制限され、100メートルを超えると停止する。この範囲内でも7分30秒以上の走行や累積475メートルの走行を超えると機能が無効化される。しかし、これらの制限だけでは安全を十分に確保できないとの指摘もある。スマートサモン作動時、ユーザーのスマートフォンには車載カメラの映像がストリーミングされるが、危険を察知して停止を指示しても通信の遅延などが原因で即座に反応できないことがあるという。
FSDによる死亡事故も調査中
ネットユーザーからは「怖くて使えない」
NHTSAはスマートサモン機能の遅延時間について重点的に調査を進める方針を示している。また、85メートル以内で作動時の速度制限に関する案内が不十分である点も問題視されている。さらに、NHTSAは昨年10月に発生したテスラの運転支援システムFSD作動中の歩行者死亡事故についても調査を行っている。調査結果によっては、2023年12月に実施された200万台規模のオートパイロットリコールと同様の措置が取られる可能性もある。
ネットユーザーからは「スマホの映像だけで自動運転を任せるのは無謀すぎる」「完璧に機能しないものを市場に出すべきではない」「問題が次々と明るみに出ている」「事故が起きた場合、運転者が責任を負わされるのに怖くて使う気にはなれない」といった声が相次いでいる。