ドナルド・トランプ米大統領がさらに強化された保護貿易主義を示唆し、日本に対する厳しい要求が予想されると朝日新聞が21日に報じた。
トランプ大統領は就任演説で「我々はもはや他国に利用されることはない」と述べ、改めて「米国第一主義」を強調した。
政府は昨年11月から「トランプ対策会議」を極秘に運営しており、林芳正内閣官房長官をはじめ外務・経産・財務・防衛省の関係者が対応策の協議を行なっている。
最大の懸念は関税の強化だ。トランプ大統領はメキシコとカナダに25%、中国に10%の追加関税を課す意向を示しており、鉄鋼やアルミニウム、半導体など「重要品目」に対しては全世界を対象に一律関税を課す可能性も指摘されている。
経済省高官は「日本の特定品目に関税が課されれば、代替品の確保が必要となり、困難が予想される」と語った。
二国間交渉が得意とされるトランプ大統領は第1期政権時と同様、日本に対して通商交渉を求めてくるとみられる。当時、日米安全保障条約への不満を口にしながら通商交渉を有利に進めようとした前例がある。
経済産業省は「どの品目がターゲットになるかの予測は難しいが、貿易赤字の解消を求められるのは確実だ」とし、「日本企業の対米投資による雇用創出効果を強調する方針だ」と述べた。
また、「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」も危うい。トランプ大統領はこれを「TPP2」と位置づけ、脱退を公言している。
安全保障分野では防衛費の増額と在日米軍駐留経費の分担金の増額が予想される。日本はGDP比2%の防衛費増額を強調し、対応する構えだ。
政府は防衛装備の共同開発を主要な対応策と位置付けており、ウクライナ支援で米国のミサイル生産が不足している状況を踏まえ、米国との生産・修理協力をアピールする戦略を取ると見られている。
外務省高官は「トランプ大統領のトップダウン意思決定に対応するには、首脳間の信頼関係を構築が不可欠だ」とし、2月初めに予定されている石破茂首相の訪米日程を急いで調整していることを明かした。