大西洋条約機構(NATO)のマルク・ルッテ事務総長は23日(現地時間)、ロシアが北朝鮮、中国、イランと「悪い取引」を行っているとして、ウクライナへの支援を縮小すべきではないと強調した。
ルッテ事務総長はスイス・ダボスで開催された世界経済フォーラム(WEF)年次総会の朝食会で、最前線の戦況が悪化していることを指摘し、「戦争の流れを変えることが重要だ」と述べた。この発言は、ウクライナ支援に懐疑的なドナルド・トランプ大統領が二期目を開始してからわずか3日後に行われた。
ルッテ事務総長はウクライナ支援を縮小すべきでない理由として、21世紀において一国が他国を侵略し、植民地化することは許されないと強調した。また、ウラジーミル・プーチン大統領が中国、北朝鮮、イランなどと協力している点を挙げ、「プーチンがこれらの国の指導者と手を取り合うのは極めて危険な取引だ」と指摘した。
さらに、ウクライナが敗北した場合、NATO加盟国が国防強化のために数兆単位の追加支出を強いられると警告し、「これは現在の予想をはるかに上回る金額となるだろう」と見込んだ。また、ルッテ事務総長は、ウクライナを将来的にNATO加盟国となることを約束し、「プーチンが交渉のテーブルにつく可能性がある場合、重要なのは持続可能な平和を保証し、2014年のミンスク合意の失敗を繰り返さないことだ」と述べた。
ロシアは2014年、ウクライナと親ロシア派東部反政府軍との戦争を終結させる内容を盛り込んだミンスク合意を結んだが、これに違反し、8年後にウクライナに直接侵攻した。