北朝鮮が最近、米国務長官の「北朝鮮はならず者国家」発言を激しく非難するなど、第2次トランプ政権に対し初めて批判的な立場を取った背景に注目が集まっている。ドナルド・トランプ大統領が就任前後に北朝鮮のキム・ジョンウン国務委員長との相性を強調し、早期の米朝対話の可能性に言及した中での初めての反応だからだ。
専門家らは、まず「ならず者国家」と名付けたトランプ政権に対する自然な批判反応であると同時に、今後あり得る核問題に関する米朝対話開催を念頭に置いた「対米交渉力の向上」を狙ったものだとの分析を示している。
4日、軍と外交筋によると、前日、北朝鮮外務省の報道官は、マルコ・ルビオ米国務長官が北朝鮮を「ならず者国家」と呼んだことに対し「これを強く非難し排斥する」とし、「主権国家のイメージを勝手に毀損しようとする敵対的な言動は、主権尊重と内政不干渉を核とする国際法的原則に全面的に反する重大な政治的挑発だ」と北朝鮮の国営メディア「朝鮮中央通信」が報じた。
北朝鮮は「我々は、朝鮮民主主義人民共和国に常に敵対的であり、今後も敵対的であろう米国のいかなる挑発行為に対しても絶対に黙認しない」とし、「常にそれに見合った強力な対応をとっていく」と警告した。さらに、トランプ大統領が「包括的な本土防衛のための新ミサイル防衛システムの開発構想」を明らかにしたことに対しても、「軍事力強化で応える」と述べた。
北朝鮮の「労働新聞」も「トランプ政権が同盟国とともに地域のミサイル防衛システムをさらに強化すると述べた事実は、米国のミサイル防衛システム近代化の動きがアジア太平洋地域でより本格化する可能性を示唆している」と主張した。また「日本をはじめとする同盟国と推進している極超音速迎撃ミサイルの開発を加速し、韓国や他の地域に高高度ミサイル防衛システム『THAAD(サード)』などの先進軍事装備をより多く配備しようとする米国の動きは明らかだ」とも述べた。そして「敵対勢力の増大する軍事的脅威に対し、限界を知らない軍事力強化で応える」と警告した。
トランプ大統領は選挙期間中に「米国版アイアンドーム(Iron Dome)」を強調し、先月の28日(現地時刻)に軍に対し、数千発のロケットを迎撃したイスラエルのアイアンドームと同様の防空システムを開発するよう指示する大統領令に署名した。
労働新聞は、トランプ政権が「中距離空対空ミサイル」、「統合空対地長距離巡航ミサイル」などを日本に売却することを承認したことについても、「海外拡張の野望に浮かれている戦犯国と、その先制攻撃能力を強化する米国の危険な行動により、アジア太平洋地域の情勢はさらに悪化するだろう」と非難した。このように北朝鮮外務省の報道官が、ルビオ米国務長官の北朝鮮「ならず者国家」発言を「重大な政治的挑発」として反発したことで、北朝鮮が最強硬な対応戦略を固めているとの見方が出ている。
韓国国立外交院のバン・ギルジュ教授は「表面的に北朝鮮外務省の声明は米国のカウンターパート機関である国務省長官の発言を狙った反発に見えるが、トランプ大統領のトップダウン・アプローチを念頭に置いた二重の策でもある」と指摘した。さらに「これは北朝鮮が省庁間の緊張局面を作り出すことで、もしかしたら実現する可能性のある米朝首脳間の直接交渉の場を最大化しようとする狙いもあるかもしれない」と分析した。
バン教授は「下部構造で緊張局面を形成した後、トランプ大統領とキム委員長との交渉を成立させることで、上部構造は問題解決者としての宣伝効果を最大化しようとする計算かもしれない」と指摘した。そして「このような劇的な北朝鮮と米国の首脳会談が韓国との詳細な調整なしに進行しないよう、複数のチャンネルを稼働させて注視しつつ対米外交を展開すべきだ」と提言した。