かゆいところを適度に掻くことで、傷口の細菌感染に対する免疫力が向上するという研究結果が発表された。
先月31日（現地時間）、アメリカのピッツバーグ大学の研究チームは、国際学術誌「サイエンス」を通じてこの研究結果を発表した。
研究チームはマウスモデルを用いて、感覚ニューロンであるぺプチド2（NP2）の機能を失わせることで、かゆみ、掻く行為、炎症の関係にどのような影響を与えるかを調査した。研究によると、掻く行為は痛覚ニューロンを活性化させ、「物質P」という神経伝達物質を放出する。この物質は好中球を誘導し、肥満細胞を刺激して炎症を引き起こす。しかし、掻く行為は黄色ブドウ球菌などの細菌を減少させ、免疫防御力を強化する可能性もある。
研究の第一著者であるダニエル・カプラン教授は「かゆいところを掻く行為がどのように炎症を引き起こすかを説明する経路を解明し、かゆみが有害な病理学的プロセスであると同時に、有益な進化的適応でもあるという一種の矛盾を解決した」と述べた。
研究チームはこのメカニズムを薬理学的にターゲットにできる可能性があると考えている。掻く行為には両面性がある。かゆい部分を掻くことで慢性的な皮膚病が悪化する可能性がある一方で、皮膚の微生物叢に影響を与え、不均衡を防ぐ効果もある。
カプラン教授は「かゆい部分を掻かくと快感を得られる。これは進化の過程で掻く行為が何らかの利点をもたらしたことを示唆している」と述べ、「今回の研究で、掻く行為が皮膚の細菌感染に対する防御作用を持つという証拠を示すことができた」と説明した。アレルギー性接触皮膚炎は特定の金属や刺激物質に対するアレルギー反応として、かゆみや発疹を引き起こす。掻く衝動を抑えられないと炎症が悪化し、治癒が遅れる。
研究チームはかゆみを引き起こすアレルゲンを用いてマウスの耳に湿疹症状を作り出す実験を行った。掻くことができるマウスは炎症が悪化し、掻くことができないマウスは炎症が軽度だった。研究チームは今回の研究で、掻く行為が黄色ブドウ球菌の量を減少させることも発見した。しかし、慢性的なかゆみの場合、掻く行為の利点よりも欠点の方が大きくなる可能性があると分析された。
カプラン教授は「今回の研究結果は、掻く行為が炎症の病理学的原因であり、感染に対する防御機能を強化する進化的メカニズムであることを示唆している」と述べ、「慢性的なかゆみに悩む患者を助けるための足がかりになることが期待される」と語った。