英国のメディア「デイリー・エクスプレス」によると、マンチェスター大学の研究チームは「室内で濡れた洗濯物を干すと、カビの繁殖に適した環境が生まれる」と警告している。研究チームによれば、「一度の洗濯で約2リットルの水分が室内に放出される」という。その結果、湿度が急上昇し、カビが増えやすい環境が整ってしまう。特に、アスペルギルス属のカビの胞子を吸い込むと、重篤な肺感染症を引き起こす危険があると指摘する。
「ほとんどの人はこのカビに対して免疫があり、問題なく対処できるが、喘息を持つ人は咳などの症状が出る可能性がある」と研究チームは説明。また、免疫力が低下している人は「肺アスペルギルス症（pulmonary aspergilloma）」という深刻な肺疾患を発症するリスクがあると警鐘を鳴らしている。
アスペルギルス属のカビを肺に吸い込むことで発症する肺アスペルギルス症は、肺や副鼻腔に大きなダメージを与え、最悪の場合は命に関わる可能性もあるという。特に、抗がん治療を受けているがん患者、エイズ患者、自己免疫疾患を持つ人など、免疫力が低下している人はこの病気にかかるリスクが高いとされている。こうしたリスクを避けるために、専門家は「できるだけ屋外で洗濯物を干し、乾燥機を使用するのが理想的だ。また、除湿機を使って湿度をコントロールし、定期的に換気を行うことが大切」とアドバイスしている。