
米国のドナルド・トランプ大統領が4月中に輸入自動車への追加関税を発表すると予告する中、2019年に安倍晋三元首相とトランプ大統領が交わした「約束」が再び注目を集めている。日本政府はこの約束を根拠に関税の回避を図っているが、安倍元首相が不在の現在、その効力が維持されるかは不透明だ。
24日付の日本経済新聞によると、この和解は2019年9月に米国ニューヨーク州で成立した。安倍元首相とトランプ大統領は日米貿易協定の締結に合意し、共同声明を発表した。声明には「米国と日本はこの協定が誠実に履行される間、両国が協定及び共同声明の精神に反する行動を取らない」と明記された。
安倍元首相は記者会見や国会答弁などを通じて、「日米共同声明の内容が日本産自動車および部品に追加関税を課さないという趣旨であることをトランプ大統領に明確に確認し、トランプ大統領もこれを認めた」と強調していた。
日本政府の通商関係文書にも、この趣旨が記録されている。日本はこれらの記録を基にトランプ第2期政権を説得する方針だ。経済産業省の幹部は「我々にとっては依然として重要な約束だ」と述べ、追加関税免除の論拠として活用する意向を示した。武藤容治経済産業相は早期の訪米を推進し、日本の立場を説明する機会を模索する計画だ。

米国の貿易赤字が昨年過去最大を記録する中、対日貿易赤字は2017年のトランプ第1期政権発足時とほぼ変わらない状態だ。また、石破茂首相は今月トランプ大統領との首脳会談で、米国産液化天然ガス(LNG)の輸入拡大に合意した。
さらに、日本企業の対米投資残高が1兆ドル(約149兆2,996億万円)に達する目標も設定された。これは日米貿易協定の核心目標である「互恵的で公正かつ相互的な貿易」を誠実に履行していることを強調しようとする日本政府の戦略と解釈されている。
しかし、重要なのはトランプ大統領の考えだ。トランプ大統領が安倍元首相との約束を現在どのように捉えているかは不明確だ。自動車追加関税の対象国や法的根拠も、まだ明確に公表されていない。
トランプ大統領が第2期就任初日に署名した行政命令「米国第一の通商政策(America First Trade Policy)」も変数だ。表面上は中国、メキシコ、カナダなど、トランプ大統領が問題視してきた国々との協定を再検討する内容が強調されている。
しかし、国を特定せず既存の貿易協定を4月1日までに再検討するよう、米通商代表部(USTR)に指示する条項も含まれており、日米貿易協定も再検討の対象として破棄される恐れがある。
日本経済新聞は「トランプ大統領は第2期政権で通商政策を含む政権運営に精通しているため、緻密な戦略を展開するだろう」とし、「過去の約束がそのまま維持されるとは断言できない」と指摘している。