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暗号資産の取引所「バイビット(Bybit)」が15億ドル(約2,245億8,717万円)の被害をもたらした北朝鮮のハッカー集団「ラザルス」が犯行の背後にいると断定し、資金追跡に乗り出した。
26日(現地時間)ボイス・オブ・アメリカ(VOA)は、バイビットが21日にハッキング攻撃により、過去最大の15億ドル相当の暗号資産を奪取されたことを受け、ラザルスに宣戦布告し、懸賞金をかけたと報じた。
バイビットのベン・ジョウCEOは25日、SNSのX(旧ツイッター)に「ラザルスとの戦いに参加を」と題する投稿を行い、ラザルスによって奪取された資金を追跡するための懸賞金サイト「ラザルス・バウンティ(Lazarus Bounty)」を開設したことを明らかにした。
ハッカーらは当時、バイビットのイーサリアム(Ethereum)のウォレットを標的に犯行を行い、取引画面を操作して正常な送金に見せかけた後、内部規則を変更して資金を引き出したとされる。これは史上最大規模の暗号資産ハッキング事件として記録され、事件直後に暗号資産の価格が急落するなど大きな波紋を呼んだ。
ジョウCEOは、ラザルス・バウンティのサイトが国際社会のサイバー制裁対象であるラザルスの暗号資産取引を追跡し、制裁の履行を支援するために作られた業界初のプラットフォームだと説明した。
ジョウCEOは、ユーザーが自身の暗号資産ウォレットをプラットフォームに連携させ、ラザルス関連の資金移動を追跡できるようにし、報告した情報が実際の資金凍結につながった場合、即座に懸賞金の5%を受け取れるようにした。
26日現在、ウェブサイトではラザルスに関連する6,338のウォレットアドレスが追跡されており、ハッキングされた資金の約3%に当たる4,230万ドル(約63億3,333万円)がすでに凍結されているとVOAは伝えた。
ジョウCEOは「ウェブサイトを維持・管理する専任チームを配置し、ラザルスと業界内の悪意ある行為者が完全に排除されるまで止まらない」と述べ、追跡への強い決意を示した。