
ドナルド・トランプ大統領の就任後、イーロン・マスク氏率いるテスラが米政府との関係を強化する一方、米連邦政府では大規模な構造改革が進められ、多くの職員が解雇された。その中で、中国とロシアが退職した米当局者の取り込みを強めていることが明らかになった。
米CNNは先月28日(現地時間)、米政府が最近入手した情報をもとに関係者の話として報じた。報道によれば、ロシアと中国は機密取扱権限を有していた元当局者や、国家安全保障分野に従事していたが最近解雇された臨時職員らと接触しているという。これらの人物が米国の重要インフラや政府組織に関する核心的情報を保有している可能性があるためとみられる。
ロシアと中国は少なくとも2か国で求人サイトを運営し、ビジネス向けSNS「LinkedIn」を通じて米連邦政府職員を対象とした求人活動を行っている。CNNが入手した米海軍犯罪捜査局(NCIS)の文書には、敵対国がトランプ政権の大規模解雇計画に乗じて連邦職員の雇用を試みているとの確信を米情報機関が強く抱いていると記されている。
外国の情報要員には、LinkedInやTikTok、Redditなどを活用して「潜在的な情報源」となり得る人物を探し出すよう指示が出されており、すでにLinkedInに求人広告を掲載した事例もあるという。
しかし、米中央情報局(CIA)内では、こうした見方を構造改革を回避しようとする職員らによる世論工作とする意見もある。米情報機関を統括する国家情報長官室(DNI)のトゥルシー・ギャバード長官は、最近のフォックス・ニュースの番組で「それが職を守るための適切な手段なのか疑問だ」と述べた上で、「こうした懸念を訴える人物こそ、排除すべき対象だ」と強調した。
ある情報筋は、「解雇された元職員にとって、今は最も脆弱な時期だ」と指摘する。別の情報筋は、「機密情報を扱った経験のある連邦職員は、競争国や敵対国の情報機関にとって極めて魅力的な標的だ」と述べた。