
ハリウッドの名優ジーン・ハックマン氏(95歳)が妻と共に遺体で発見され、その死因が明らかになった。
ニューメキシコ州の捜査当局は今月7日(現地時間)、ハックマン氏の妻でピアニストのベッツィ・アラカワ(65歳)が死亡した約1週間後にハックマン氏が亡くなったと推定されると発表した。
ジーン・ハックマン氏、妻の死から1週間後に心臓疾患で死去
妻のアラカワ氏はハンタウイルスに感染し関連症状に苦しんだ末に亡くなり、アルツハイマー病を患っていたハックマン氏はこの事実を正しく認識できないまま、約1週間後に心臓疾患で亡くなったという結論に至ったという。
ニューメキシコ州法医学局の主任検視官は「95歳だったハックマン氏の死因は高血圧と動脈硬化性心血管疾患であり、アルツハイマー病が重要な要因である」と述べた。
警察はアラカワ氏のメールやその他の活動記録などを基に、彼女が2月11日以降に亡くなり、ハックマン氏の死亡時期は2月18日頃だったと結論付けた。
ハックマン夫妻が飼っていた1匹の犬はアラカワ氏の遺体から約3メートル離れた浴室のクローゼット内で死んでいるのが見つかった。残り2匹の犬は生存していた。海外メディア「ニューヨーク・タイムズ」はニューメキシコの捜査当局の発言を引用し、「まだ解剖結果は出ていないが、犬は(ハックマン夫妻の死後に起こった)脱水や飢餓によって命を落とした可能性が高い」と伝えている。
2月26日、ハックマン氏とピアニストだったアラカワ氏がニューメキシコ州・サンタフェの自宅で遺体で発見された。アラカワ氏の遺体は浴室の床で発見され、浴室に隣接するキッチンのカウンターには処方薬の瓶や薬が散乱していた。発見時、彼女の遺体は手足がミイラ化しており、死亡からかなりの時間が経過していた可能性が指摘された。
事件の捜査初期には死因として一酸化炭素中毒の可能性が疑われたが、毒性検査の結果が陰性だったため、一酸化炭素中毒ではないことが判明した。
当局は他殺の可能性も排除していないが、家に強制侵入や物色の形跡は見つからなかった。遺体には外傷の痕跡がなく、遺書も発見されなかったため、死因を巡ってさまざまな疑問が生じていた。
アラカワ氏、ネズミの排泄物を介して感染する「ハンタウイルス」で死亡
ハンタウイルスはネズミの排泄物を介して感染する。感染した齧歯目の動物がハンタウイルスに感染した後、糞便、尿、唾液などを通じてウイルスが体外に排出される。その後、乾燥したウイルスが埃と共に空中を漂い、呼吸器を通じて、または傷ついた皮膚、目、鼻、口に直接接触することで人に感染する。

人が感染するとインフルエンザに似た発熱、筋肉痛、咳、嘔吐、呼吸困難を引き起こす。重症の場合、心不全や肺不全に至ることがある。
ハンタウイルスはネズミを介して感染し、流行性出血熱を引き起こすが、1976年に韓国の高麗大学医学部のイ・ホワン博士がネズミの肺組織から初めて分離することに成功した。朝鮮戦争当時、軍事境界線の付近で勤務していたアメリカ軍の間で広がる感染症を調査する中でハンタウイルスが発見された。
ウイルスが発見された地域にある漢灘(ハンタン)江にちなんで最初は「ハンタンウイルス」と名付けられたが、翻訳過程でハンタウイルスとして知られるようになった。
抗ウイルス薬などの特効薬がないハンタウイルスは、特にアメリカ西部で感染ケースが多く、3〜6日間インフルエンザの症状が続き、肺に体液がたまると1〜2日以内に死亡することがある。早期発見した際はリバビリン投与により回復の可能性が高まる。
ハンタウイルス感染時には初期に高熱、悪寒、頭痛、筋肉痛などのインフルエンザのような症状が現れ、その後血圧低下や尿量減少により腎機能が損なわれることがある。重症の場合、出血や呼吸困難となり、死亡率は約5〜15%である。
迅速な診断と症状に応じた治療が鍵となる。キャンプや除草作業など屋外活動が多い場合は予防ワクチンの接種が推奨され、1か月間隔で2回接種した後、毎年追加接種を行う必要がある。