中国の人工知能（AI）技術が、積極的な投資とオープンソースのエコシステムを基盤に急成長している。豊富な資金力を背景に、アリババやバイドゥなど中国の大手企業が開発したAIだけでなく、中国のAI新興企業「モニカ」が開発したAIエージェント「マヌス（Manus）」も「第二のディープシーク（DeepSeek）」と呼ばれるほどだ。こうした状況下、韓国でも投資規模を拡大し、オープンソースのエコシステムを構築して技術競争に対応すべきだとの声が高まっている。
12日、IT業界によると、5日に公開されたマヌスは、中国のAI新興企業「ディープシークR1」と同等の性能を持つ自律型AIエージェントとして注目を集めている。既存の大規模言語モデル（LLM）などがユーザーの指示に従って動作するのに対し、マヌスはある程度自律的に作業を行うことができる。
例えば、大量の履歴書が含まれたPDFの圧縮ファイルをアップロードし、Excelでの整理を依頼すると、マヌスは自ら圧縮を解除し、履歴書を分析してExcelで整理するだけでなく、関連技術や業界動向の分析まで行う。
業界では、オープンAIがプロプラン（月額200ドル・約2万9,675円）購読者に提供する「オペレーター」よりも一段進化したAIエージェントとみなされている。マヌスは自然言語処理や画像分析だけでなく、金融分析などの複雑な専門分野にも適用可能なモデルだ。
モニカ側は「マヌスは思考と行動を結びつける汎用AIエージェントで、単に思考するだけでなく結果を提供する」と説明している。実際、AIの問題解決能力を評価する指標であるベンチマークテストで最高性能を獲得しており、これはオープンAIの深層分析機能「ディープリサーチ」を上回るレベルを示している。また、「オープンマヌス」というオープンソースを公開し、様々な研究・開発主体がリアルタイムでフィードバックを行い、改善に参加している。
アリババ、TikTokの親会社「バイトダンス」や中国最大の検索エンジン「バイドゥ」などの中国の大手企業も次々とオープンソースの生成型AIを発表し、堅固なオープンソースのエコシステムを構築している。
6日にアリババグループがオープンソースとして公開したAI推論モデル「QwQ-32B」も、ディープシークのR1に比べてサイズが20分の1に過ぎないが、同等の性能を持つと主張している。アリババ・クラウドは最近、AIビデオモデル「通義万相（Tongyi Wanxiang）」の最新バージョン「万相2.1」を発表し、注目を集めた。
さらに、中国は国家レベルでAI研究開発（R&D）支援、規制緩和政策に巨額の資金を投入している。中国政府は地方資金や民間資本を動員し、1兆元（約20兆4,841億円）の「国家の創業・投資誘導ファンド」を設立し、これをAIや量子科学などの先端技術産業の創業投資に投入する計画だ。
企業もこれに呼応してAI技術競争に総力を挙げている。アリババは今後3年間でデータセンターを含むAIインフラに3,800億元（約7兆7,839億円）を投資する計画を立てており、バイトダンスは今年だけでAI事業に120億ドル（約1兆7,805億円）を投資する。
一方、韓国は相対的にオープンソース基盤が弱く、AIへの投資規模も不足しているとの指摘がある。AI技術競争には膨大なデータと計算資源が必要だが、これを支えるインフラ構築や産業連携への投資が十分でないだけでなく、クローズドソースにこだわることでオープンソースエコシステムの技術発展の速度に追いつくことができないとの分析がなされている。
韓国・高麗大学人工知能研究所のチェ・ビョンホ教授は「中国のAI発展戦略を我々も参考にする必要がある」と述べ、「国家レベルで先導企業に巨額の資金を投資し、彼らがオープンソースとして公開した技術を堅固な『コミュニティ』形成を通じて発展させなければ、AI技術競争力を持つことはできない」と提言した。