
「俺はテスラを愛している(I love Tesla)。素晴らしい車だ。値引きなしで定価で購入する」
米国のドナルド・トランプ大統領がホワイトハウス前をテスラのショールームに変え、下落していたテスラ株価の反発を促した。10日(現地時間)、テスラ株価が1日で15%以上急落し、約4年6カ月ぶりに日中最大の下落幅を記録した翌日、大統領自らが宣伝活動を開始した。トランプ大統領の支援と安値での買い需要の流入により、テスラ株は夜間に3.79%反発した。
12日、AP通信など海外メディアによると、トランプ大統領はホワイトハウス敷地内のサウスローンに駐車されたテスラモデルSの赤いセダンに、テスラのイーロン・マスクCEOと共に試乗する様子をSNSの「トゥルース・ソーシャル」に投稿した。トランプ大統領は運転席に座り、車が「美しい」と繰り返し称賛した。
映像内で記者たちの前に立ったトランプ大統領は隣に立つマスクCEOを指し、「私が(テスラを)購入する理由は、まずこの製品が本当に素晴らしいからだ。そして、この男が自身のエネルギーと人生をこの事業に捧げているからだ」と語った。
さらに「ごく一部の人々が彼を非常に不当に扱っているが、愛国者であるという理由で不利益を被るべきではないことを皆に理解してほしい」と述べ、「彼は数十億ドル規模の詐欺や浪費、あらゆる種類の問題が発見できるため、我が国は益々強くなると思う」と断言した。
また「世界のどこを探してもこんな人物はいない。彼が不利益を被るべきではない(He shouldn’t be penalized)」とし、「むしろ逆だ。人々は熱狂し、(テスラの)製品を愛すべきだ。私はテスラを愛している」と強調した。そして「車のナンバープレートは『トゥルース(Truth・真実)』にする」とも付け加えた。
マスクCEOはトランプ大統領の発言後、「私はトランプ大統領と彼の政権の優れた政策のおかげで、テスラは今後2年以内に米国内の車両生産量を倍増させると言いたい」と述べた。トランプ大統領がホワイトハウス前にテスラ車を持ち込んだのは、連日のテスラ株価急落の中、深夜に突如実現した出来事だった。
トランプ大統領は11日、深夜0時を少し過ぎた時刻にトゥルース・ソーシャルに投稿し、「イーロン・マスク氏は我が国を助けるために危険を冒して素晴らしい仕事をしている。しかし、急進左派の狂った人々はいつものように、世界最高の自動車メーカーの一つであり、イーロン氏の『赤ん坊』であるテスラを違法に、共謀してボイコットしようとしている」と批判した。
そして「真に偉大な米国人であるイーロン・マスク氏への信頼と支持の表明として、私は明日の朝に新しいテスラ車を購入する」と予告した。これに対し、約1時間後、マスクCEOはこの投稿を引用し「ありがとう(Thank you)」と返信した。
今回のトランプ大統領によるテスラ車の試乗と購入は政府効率化省(DOGE)の長として活動し、テスラのCEOとして危機に直面しているマスクCEOを支援する動きと解釈される。先月から米国では、マスクCEOの政治的な行動に反対する抗議やテスラ製品のボイコット運動が激化しており、テスラ車や店舗、充電所などを標的とした放火や銃撃など過激な攻撃が連日続いている。
このような状況がテスラの車両販売実績の不振につながる可能性があるとのウォール街の報告もあり、10日のニューヨーク株式市場ではテスラ株価が15.4%急落した。しかし、その後、トランプ大統領がテスラへの支持を公然と表明した後、テスラ株価は反発。前日比3.79%上昇の230.58ドル(約3万4,089円)で取引を終えた。