
先月ウクライナの首脳に対して怒鳴りつけた米国のドナルド・トランプ大統領が、再びホワイトハウスを訪れた外国首脳の目の前で攻撃的な発言を繰り出した。突如攻撃を受けたアイルランドの首相は、トランプ大統領の主張に反論した。
AP通信などの米メディアによると、アイルランドのミホル・マーティン首相は12日(現地時間)、最大の祝日である「聖パトリックの祝日」を迎え、ホワイトハウスで開かれた祝賀行事に参加した。アイルランド系移民の多い米国では、この祝日に盛大な祭りが催され、ホワイトハウスでも記念行事が行われる。マーティン首相のホワイトハウス訪問は、先月28日のウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領の訪問以来、外国首脳としては初めてだった。
この日、トランプ大統領は世界中のすべての貿易相手国から輸入する鉄鋼・アルミニウム製品にそれぞれ25%の関税を課すと発表した。同日、欧州連合(EU)は4月から米国産輸入品に報復関税で対抗すると表明した。
トランプ大統領はEUの報復予告に反発した。マーティン首相との会談直前に「EUは米国を利用するために設立された」と述べ、先月から繰り返してきた主張を再び持ち出した。トランプ大統領はマーティン首相との会談の場で、EU加盟国であるアイルランドも米国を利用したのかという記者の質問に「もちろんだ。私はアイルランドを非常に尊重しているし、彼らはやるべきことをしただけだが、米国はそれを許すべきではなかった」と主張した。
トランプ大統領は「アイルランド人は賢い」とし、「米国の製薬会社や他の企業を見てみろ。この500万人が住む島が米国の製薬産業全体を掌握している」と述べた。これは米大企業が法人税を節減するために、EU加盟国の中で税率が低いアイルランドに本社を移転させている状況を指摘したものと推測される。
トランプ大統領は「米国はこれまで愚かな指導者たちに統治されてきた。米国の指導者たちは実業家ではなく、何の手掛かりもなかった」と述べた。さらに「彼らは何が起きているのか分からず、気づいたらアイルランドが我々の製薬企業を奪っていった」と主張した。
これに対し、マーティン首相は「貿易関係は双方向の道路のようなものだ」と反論した。アイルランドの2大航空会社がすべて米ボーイング社の航空機を購入しており、米国外の企業の中で最大の購入量を誇ると主張した。さらに、米国で事業を展開する700のアイルランド企業が数千の雇用を創出していると強調した。
マーティン首相は「それは統計にも現れず、あまり知られていないが、事実だ」と説明した。同時に「(トランプ)大統領の立場は十分理解している。しかし今後は共に関係を改善し、未来を共に乗り越えていかなければならない」と述べた。
両首脳の対立は、同席していたJD・ヴァンス米副大統領の靴下の話題に移ることで和らいだ。トランプ大統領は米国のインフレについて語っている最中に、ヴァンス副大統領が履いていたアイルランドの伝統模様の靴下に言及し、「あの靴下は本当に素晴らしい。あのような靴下があるとは知らなかった。副大統領の靴下のせいで集中できない。実に素晴らしい靴下だ」と述べた。すると、聴衆から爆笑が起こった。
両首脳は雰囲気が和らいだにもかかわらず、会談の終盤まで神経戦を続けた。米総合格闘技団体UFCのスポンサーとして知られるトランプ大統領は、最も好きなアイルランド人は誰かという質問に、元UFC選手のコナー・マクレガー氏の名を挙げた。
トランプ大統領は「彼は私が今まで見た中で最高のタトゥーを持っている」と述べた。トランプ大統領はマーティン首相の父親が有名なボクサーだったことに触れ、「あなたはとても柔和な顔をしている」と話した。これに対し、マーティン首相は「私もかなりの防御型ボクサーだ」と切り返した。
