暗号資産（仮想通貨）市場が4月初旬までグローバル貿易戦争の影響を受けるとの見通しが示された。
しかし、貿易摩擦が解消されれば、市場に新たな上昇モメンタムをもたらす可能性も指摘されている。
暗号資産分析会社「ナンセン」のアナリスト、ニコライ・ソンダーガード氏は、市場が来月2日まで貿易戦争への懸念に引き続き影響されると分析した。
4月2日以降の関税調整が市場の鍵を握る
23日付の「コインテレグラフ」の報道によると、ソンダーガード氏は来月2日以降の関税調整の行方に注目すべきだと強調した。
同氏は「一部の国が合意に達すれば、関税が緩和される可能性もある」とし、「現時点では貿易戦争が市場を動かす最大の要因だ」との見方を示した。
また、来月2日から7月の間に貿易戦争問題が解決されれば、市場が反発する可能性が高いと予測した。
トランプ大統領が発表した相互関税（reciprocal tariff rates）は来月2日から正式に施行される予定だ。
以前、米財務長官スコット・ベッセント氏が関税施行の延期の可能性に言及したが、現時点では予定通り進行する可能性が高い。
関税措置が実際に適用されれば、ビットコインなどのリスク資産がさらなる圧力を受ける可能性が高いと考えられる。
連邦準備制度理事会（FRB）の金融政策も市場の重荷に
貿易戦争に加え、FRBの金融政策も市場の上昇を抑制する要因となっている。
ソンダーガード氏は「FRBが本格的に利下げに踏み切るには、経済指標がさらに悪化する必要がある」と分析した。
現在、CMEグループのFedWatchツールによると、5月7日に開催予定の連邦公開市場委員会（FOMC）会合で金利が据え置かれる確率は85%に達している。
投資家はFRBが即座に利下げに動く可能性は低いと判断しており、これが暗号資産市場の重荷となっているとみられる。
貿易戦争と金利上昇懸念は一時的…長期的には楽観的な見方も
ネクソ（Nexo）のデジタル資産投資ストラテジスト、イリヤ・カルチェフ氏は、貿易戦争と金利上昇圧力が短期的な要因である可能性が高いと分析した。
同氏は「FRBはインフレと景気後退の懸念を一時的な問題と捉えている」とし、「市場は経済指標をより信頼できる環境が整うだろう」と述べた。
また、「インフレが鈍化し、経済状況が安定すれば、投資家心理が改善するだろう。これはビットコインやデジタル資産のさらなる上昇要因となる可能性がある」と付け加えた。
さらに投資家に対し、消費者信頼感指数、第4四半期のGDP、新規失業保険申請件数、来週発表予定のPCEインフレ指標などに注目するよう助言した。