暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)が依然として8万1,000ドル(約1,179万2,364円)から8万4,500ドル(約1,229万8,515円)の間で上下動を繰り返しており、仮想通貨市場に警告が出された。

6日(日本時間)、「ニュースBTC」によると、テクニカルアナリストのトニー・セヴェリーノ氏が、2017年のビットコイン強気相場と現在の状況を比較すべきではないと投資家に警鐘を鳴らした。
セヴェリーノ氏は、月足チャートで確認される主要なテクニカル指標である「ストキャスティクス・オシレーター(Stochastic Oscillator)」を根拠に、市場の現状が過去とは異なると強調している。
ストキャスティクス・オシレーターは、直近の取引レンジで買われ過ぎか売られ過ぎかを判断するために使用される指標で、暗号資産分析でも広く活用されている。セヴェリーノ氏はこの指標を2013年からの月足ビットコイン相場に適用して分析した。このチャートには主要な上昇相場と下降相場がすべて含まれており、長期的なモメンタムを把握するのに有用だ。
一方、市場の一部からは、この1か月基準のストキャスティクス・オシレーターの指標が2017年と類似しているとの見解も示されており、今回も強い上昇相場が来るという楽観的な見方を示した。現在この指標は約60の水準にあり、これは2017年の上昇相場の調整期と似た数値だ。
しかしセヴェリーノ氏は、この数値がむしろ2018年初頭の下落相場開始時点とより類似していると見ている。彼は当時ビットコインがわずか1か月で最高値から49%近く暴落した事例を挙げ、現在の状況がその時と似た展開になる可能性があると警告した。
また、セヴェリーノ氏は「現在の技術的な動きから、2017年の上昇相場との類似性を見出すのはやや危険な解釈だと指摘した。彼は今回の動きがむしろ調整局面か下落相場に入る前兆である可能性があると分析した。
実際、オンチェーンデータもこの分析を裏付けている。短期保有者が最近の買い活動を停止したことが示されており、これは市場に対する確信の欠如を意味する。また、実現価格モデルによれば、現在の調整が数週間続く可能性があるとの見通しも示された。
それにもかかわらずビットコインは最近の市場の不安定さの中でも8万ドル(約1,164万3,565円)を支持線として守り、反発に成功した。この日の午後2時40分現在、ビットコインの価格は8万3,300ドル(約1,212万3,862円)台で取引されている。
ドナルド・トランプ米大統領が新たな関税政策を打ち出したことで、世界の金融市場におけるボラティリティが高まり、この影響で米国の主要株価指数であるダウ工業株30種平均、S&P 500、ナスダック総合指数も下落した。ビットコインも一時8万1,000ドルまで押し下げられたが、その後8万3,000ドル(約1,207万4,043円)台を回復した。この動きについて、従来の金融指標との連動性から脱しようとする初期の兆候かもしれないとの見方も出ている。
専門家らは、現状では明確なトレンドが見出しにくい局面であるとし、テクニカル指標に対する過度な楽観を警戒し、市場動向を冷静に見極める必要があると助言している。