
中国・産婦人科医、胎盤とみられる医療廃棄物を密かに持ち出し
映像公開でSNS炎上…病院側「当医師を解雇」
中国のある産婦人科医が、出産後の胎盤とみられる医療廃棄物を密かに持ち出す様子を捉えた映像が公開され、衝撃を与えた。胎盤は妊娠中に形成され、へその緒を通じて胎児に栄養を送る器官で、出産後に体外へと排出される。
6日付の香港紙「サウス・チャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)」によると、先月31日、中国のSNSに貴州省にある産婦人科で隠し撮りされたとみられる映像が投稿されたという。映像には、医師が手術室から胎盤とみられるものが入ったビニール袋を持って自室に戻り、その後、黒いビニール袋に包み直す様子が捉えられていた。
当映像の撮影者は「出産後、病院に処分を依頼した胎盤を医師が無断で持ち出した」とし「懲戒処分が必要だ」と訴えている。
中国メディアによると、病院側は当医師をすでに解雇したという。しかし、過去にも同様の行為を行ったかどうかについては明らかにされていない。
中国の伝統医学では、かつて乾燥させた人の胎盤が非常に栄養価の高いものとされていた。疲労回復、活力増進、不妊治療に効果があり、さらには不老長寿の力があるとまでいわれていた。近年では、出産後に自身の胎盤を食べることで早く回復することができると信じる人もいるという。中国では2005年に人間の胎盤の売買が禁止された。保健当局は「胎盤を引き取ることができるのは、母親本人に限る」としており、希望しない場合は、病院側が胎盤を焼却または医療廃棄物として埋却する決まりになっている。
しかし、中国のSNSでは「出産後に母親が胎盤の処理を病院に任せた後、それが実際にどう扱われているのか分からない」といった批判が多くみられている。2021年には、人の胎盤が闇市場で1キロあたり2,400元(約4万8,000円)で取引されていると報じられたこともある。
中国は人の胎盤の取引を禁止しているものの、違反者に対する明確な処罰規定がなく、密かに売買を行う人々にとって法の抜け穴となっていると、現地メディアは指摘している。ある中国のネットユーザーは「普通の肉や卵、牛乳の方が胎盤より栄養がある」とし「私は人食じゃないので、絶対に人間の胎盤なんか食べられない」と語った。