韓国の食文化で長年愛されてきたおやつがある。

登山などのアウトドア活動や酒の席、弁当まで、様々な場面で登場し、調理不要で楽しめる手軽さから、安定した需要が続いているのが「干しイカ」だ。
特有の塩味と旨味、歯ごたえのある食感、焼いた時の香りは多くの韓国人にとって馴染み深いものだ。
干しイカはタンパク質含有量が多く脂肪分が少ないため、低カロリー高タンパク食品に分類される。100gあたりのタンパク質含有量は約70gで、飽和脂肪酸と炭水化物は比較的少ない。このような特性は、健康的なおやつという認識にもつながっている。
特に干しイカと相性抜群のマヨネーズや醤油、ビールとの組み合わせにハマると、そう簡単には抜け出せない。
しかし、干しイカは製造と摂取の過程で様々な衛生・健康上の問題と関連しているという分析もある。
高温調理による化学物質発生、高いナトリウム含有量
干しイカは直火で焼いて食べるのが一般的だ。この過程で表面が炭化し、ベンゾピレンなどの多環芳香族炭化水素(PAHs)が生成される可能性がある。

ベンゾピレンは世界保健機関(WHO)傘下の国際がん研究機関(IARC)によって第1群発がん物質に分類されている成分だ。一般的に肉や魚を、炭火や直火など高温で調理する際に発生し、300℃以上で生成率が上昇すると知られている。
韓国の食品医薬品安全処と関連学界は、繰り返し高温調理を行う際にこれらの物質が生成される可能性について警告してきた。干しイカを焼く際に表面が焦げたり黒くなった場合、ベンゾピレンを含む多環芳香族炭化水素系の化合物が含まれる可能性があるという研究結果も存在する。
そして、干しイカは水分の抜けた状態で濃縮されたナトリウムを含んでいる。一部の製品は100gあたりのナトリウム含有量が1,000mgを超えることが示されており、これは成人の1日推奨量の半分に相当する。保存性の向上や味付けのために塩処理が加わる場合、実際の摂取ナトリウム量はさらに高くなる可能性がある。
干しイカはこうした特性にもかかわらず、様々な方法で特に制限なく消費されている。一部の消費者は健康食や低脂肪おやつとして認識しており、市場にはダイエット向けのおやつとして販売されているものも見られる。

干しイカは長年にわたり大衆的なおやつとして定着した食品だ。火で焼いて食べる伝統的な消費方法と栄養豊富だという特徴によって一般的な認識が形成され、幅広い年齢層の食文化に深く根付いている。
同時に、調理方法や食品成分によっては一部の有害物質が生成されたり、栄養成分が変化する可能性があるため、関連情報への関心が高まっている。
干しイカに含まれる成分は現在、様々な機関や専門家によって研究されており、食品安全性と消費実態に関する検討も続けられている。