ロシア軍として参戦した中国人捕虜…中国、傭兵供給の可能性も
ウクライナ、中国人捕虜2名を拘束

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は8日(現地時間)、ウクライナ東部ドネツク地域でロシア軍の一員として戦っていたとされる中国人6人のうち2人を拘束したと発表した。これに対し中国政府は、事実関係を確認中だと述べた。
ゼレンスキー大統領は「彼らの書類、銀行カード、個人情報を入手した」と述べ、「ロシア軍部隊にはさらに多くの中国人がいるとの情報もある」と語った。
SNS「X(旧Twitter)」に投稿された動画には、中国人とみられる軍服姿の男性が結束バンドで拘束され、両手を動かしながら中国語で戦闘状況を語る様子が映っている。
拘束された中国人のうち1人は、1991年6月4日生まれで、中国の漢族出身とされる。
ウクライナ戦争が3年以上続く中、中国人の捕虜が確認されたのは今回が初めてだ。
ゼレンスキー大統領は、「中国の関与は、プーチン大統領が戦争終結以外はどんなことでもやるという証しだ」と指摘し、「戦闘継続の意思を示している」と述べた。

さらに、ゼレンスキー大統領は、中国が北朝鮮やイランと並び、ロシアを支援する国の一つであると批判した。
これについて、中国外交部の林剣報道官は9日の定例記者会見で、「関連情報を確認中だ」と応じた。林報道官は「中国政府は常に、自国民に対して武力紛争地域には近づかず、いかなる形でも紛争に関与しないよう求めてきた」とし、「特に、いずれの陣営の軍事行動にも加わらないよう呼びかけている」と述べた。
また、ロシア軍部隊に多くの中国人がいるというウクライナ側の主張については、「そのような主張には根拠がない」と一蹴した。
米国務省のタミー・ブルース報道官も、ロシア軍に加わった中国人がウクライナで拘束されたとの報道について、「憂慮すべき事態だ」との認識を示した。そのうえで、「中国はロシアの重要な支援国であり、ロシアが戦争を継続するために必要な軍民両用物資の約8割を提供している」と指摘した。
ロシアは数万人規模の外国人傭兵を募集しており、イエメン、ネパール、キューバなどから高給を目当てに志願した例があるとされる。
戦争終結に向けた交渉では、ウクライナ側が停戦に応じる構えを示したものの、ロシアが拒否しており、戦況はこう着状態にある。