
中国が先端産業に不可欠なレアアース(希土類)の金属6種と磁石の輸出を中断した。13日(現地時間)、ニューヨーク・タイムズ(NYT)は、中国政府が新たな規制システムが整うまで関連希土類の輸出を停止する決定を下したと報じた。これにより、当該希土類と磁石は特別な輸出許可を取得しなければ中国外に持ち出せなくなった。
輸出が制限された希土類は、様々な電気モーターに不可欠な磁石の核心材料だ。これらの電気モーターは電気自動車、ドローン、ロボット、ミサイル、宇宙船の主要構成要素であり、内燃機関車両にも使用される。この措置は米中貿易戦争の激化を背景とした中国の報復策とみられ、これに依存してきた世界各国の先端産業および関連企業に直接的な打撃を与えることになる。
対象にはガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ルテチウム、スカンジウム、イットリウムなどの希土類および希土類磁石が含まれる。希土類はジェットエンジン、レーザー装置、自動車のヘッドライト、点火プラグの製造に使用される化学物質にも用いられ、人工知能(AI)のサーバーやスマートフォンの電源供給装置の核心材料としても活用される。2023年時点で、中国は世界希土類の99%を供給している。希土類磁石については、中国が90%を生産し、残りは日本とドイツで製造されているが、日本とドイツも磁石製造に必要な原料を中国から調達している。
NYTは「米国の軍需企業を含む特定の企業への(希土類の)供給が永久に遮断される可能性がある」と指摘した。米国最大の希土類企業MPマテリアルズのジェームズ・リティンスキー会長は「ドローンとロボットは戦争の未来像とされているが、全てを考慮すると未来の供給網の核心要素が麻痺しつつある」と懸念を表明した。
今回の輸出規制措置は世界全体を対象としており、韓国も例外ではない。ただし、韓国産業通商資源部は今回の輸出規制が業界に与える影響を調査した結果、公共備蓄や民間在庫、代替品などは確保されていると発表した。
中国がほぼ独占的に供給してきた希土類の輸出制限に対し、米国の産業界はほぼ無防備な状態にあるとの指摘が出ている。2010年に中国の希土類禁輸措置を経験した日本企業は、1年以上の希土類在庫を保有しているが、米国企業はほとんど在庫を持っていないという。
NYTは「企業ごとに備蓄量に大きな差があるため、希土類の枯渇による生産中断の時期を予測するのは難しい」としながらも、「米国企業の大半は原材料の備蓄に伴うコスト負担から在庫をほとんど持っていない状態だ」と指摘した。さらに「中国の習近平国家主席は2019年、ドナルド・トランプ米大統領の初任期中に中国江西省贛州市の希土類磁石工場を特別視察し、『原材料管理権』の行使を示唆した」とし、「当時は関連措置を講じなかったが、現在はこれを実行に移している」と指摘した。