
米連邦裁判官がトランプ政権を公然と批判した。外国人強制送還の手続きにおいて、当局者らが意図的に裁判所命令を無視するなど、法廷侮辱に該当する行為があったとして、是正を求めた。
AP通信などの米メディアによると、16日(現地時間)、ワシントンDC連邦地裁のジェームズ・ボスバーグ裁判官は、トランプ政権が一部外国人のエルサルバドル収容施設への移送手続きを中止するよう求めた先月の自身の命令を故意に無視したとの判断を示した。
ボスバーグ裁判官は命令書で、トランプ政権当局者らの行為は法廷侮辱罪に当たる十分な根拠があると指摘した。政権に対し、来週までに違反事項の是正努力を示すか、裁判所命令不履行に関する説明を求めた。
裁判官は「憲法は、憲法遵守を宣誓した(司法部と)同格の行政当局者による意図的な司法命令不服従を許容しない」と強調した。
ボスバーグ裁判官のこの発言は、政権の対応次第でトランプ政権当局者らが法廷侮辱容疑で起訴される可能性を事実上警告したもので、波紋を広げる可能性がある。裁判官は、連邦司法省が当局者らを法廷侮辱容疑で起訴しない場合、自ら特別検察官を任命する可能性も示唆した。
スティーブン・チョン・ホワイトハウス広報部長は、X(旧ツイッター)への投稿で、ボスバーグ裁判官の決定に「即時」控訴すると表明した。また、「トランプ大統領は、テロリストや犯罪を犯した不法移民者らがアメリカ国民と全国のアメリカ人コミュニティに脅威を与えないよう100%献身している」と説明した。
ボスバーグ裁判官は先月15日、トランプ政権がベネズエラ国籍者200人以上を犯罪組織員と規定し、18世紀制定の「敵性外国人法」(AEA)を適用して追放したことを「前例のないことで、法律の拡大解釈」と批判し、追放手続きの即時中止を命じる仮処分決定を下した。
ベネズエラ人を乗せた当該航空機は同日午後にエルサルバドルに到着したが、ボスバーグ裁判官は、これが自身の命令に対する意図的な違反にあたると判断した。
先月、ドナルド・トランプ大統領は、自身の即時追放政策にブレーキをかけたボスバーグ裁判官をSNSで激しく非難し、弾劾を主張していた。