米国で開催される億万長者主催の精子レースが物議、「本物か」と疑問の声も

男性不妊の深刻さに対する理解を広めようと、米国で億万長者たちがユニークなイベントを企画した。顕微鏡で撮影した「ヒトの精子」の動きをリアルタイムで中継し、最も早く進んだ精子を勝者とするレース形式の催しだ。
15日(現地時間)、「ニューヨーク・ポスト」などの報道によると、米カリフォルニア州ロサンゼルスのハリウッド・パラディウムで、25日に世界初の「精子レース大会」が開催されるという。このユニークな大会は、若い億万長者らで構成される団体「スパームレーシング(Sperm Racing)」が主催し、大会の実現に向けて100万ドル(約1億4341万円)以上の資金を集めた。
大会は数千人の観衆の前で行われる予定だ。参加する精子はおよそ0.05mmの大きさで、女性の生殖器の構造を模した長さ20cmの極小コースを進む。
このミクロなレースでは、2人の提供者から採取された精子が化学信号に反応しながらコースを進み、最初にゴールに到達した精子が勝者となる。
ヒトの精子は液体中を1分あたり約5mmの速度で進むため、レースは一瞬で終わることもあれば、1時間以上かかることもあるという。

主催者は観客の関心を高めるため、精子の動きを高解像度カメラで追跡し、生中継で映し出す予定だ。また、リアルタイムの実況や順位表、ハイライト映像なども用意され、観衆はスポーツイベントのようにレースに賭けることもできる仕組みとなっている。
イベントを企画したエリック・ジュ代表は、「2人の競争者、2つのサンプル、1つの顕微鏡的ゴール」というキャッチフレーズで大会を紹介した。ジュ氏は、10代で市場分析ソフトウェア企業「アビアト」を設立した若手実業家でもある。
今回のイベントは、世界的に増加する男性不妊への関心を高めることを目的に企画されたもので、ジュ氏は「健康を競争の一要素にすることで、男性不妊が自然と話題になり、改善に向けた動きが広がっていくことを期待している」と述べた。
また「面白半分に見えるかもしれないが、これは単なる娯楽ではない」とし、このイベントが乳がん啓発マラソンのように、男性不妊問題への国際的な関心を喚起する目的で企画されたと強調した。
実際、1973年から2018年の間に、世界中の男性の精子濃度は50%以上減少しており、精液1mlあたりの精子数は1億1,000万個から4,900万個に減少したとされる。
この減少傾向の背景には、肥満の増加、運動不足、喫煙習慣、さらには化学物質や農薬などとの接触といった複数の生活習慣や環境要因が複雑に絡んでいると分析されている。