
米ロサンゼルス(LA)のブロードウェイにある宝石店で、強盗団がトンネルを掘って侵入し、約1,000万ドル(約14億2,345万円)相当の宝石と貴金属を盗み出した。
AP通信などの15日の報道によると、米連邦捜査局(FBI)とロサンゼルス市警察(LAPD)は、13日夜に発生した宝石店強盗事件の合同捜査に乗り出した。警察の発表では、強盗団はコンクリート壁に穴を開けて店内に侵入し、少なくとも約1,000万ドル相当の時計、ペンダント、金のチェーンなど高額な商品を盗み去った。捜査当局は、容疑者らが人が通れるほどの大きな穴を通って店内に入る様子を捉えた防犯カメラの映像を入手したという。彼らは、目的地までコンクリート壁を貫通させたトンネルを複数掘ったことが判明した。トンネル掘削には数週間を要したとみられる。警察関係者は「強盗団は、近隣にある閉鎖された映画館から建物にトンネルを掘り進めてきた」とし、「古くなった厚い壁を突き破り、小部屋を経て二つ目の壁まで掘り進んだ」と説明した。
被害店舗によると、強盗団は店内に侵入後、防犯カメラと警報システムを無効化したという。犯行時、警報は作動せず、店内の防犯カメラも機能していなかった。強盗団は、店内で二つの大型金庫を標的とし、一つはドリルで開け、もう一つは別の手段で強制的に開けたとみられる。金庫を開ける作業だけで約3時間を要し、全体の犯行には5~6時間程度かかったと推定される。彼らは犯行後、掘ったトンネルを通って逃走し、事前に用意した車両で逃げ去った。翌朝、従業員が出勤して初めて強盗被害が発覚した。
この宝石店は、ラッパーやアーティストに人気の店として知られている。店舗のSNSには、ネックレスや金製のロレックス時計バンド、ダイヤモンドで装飾されたAK-47ライフルの模型など、高級アクセサリーが掲載されている。被害店舗は保険に加入していなかった。店舗側は「年間保険料100万ドル(約1億4,235万円)は負担できなかった」と説明している。
LA地域では、1980年代にいわゆる「地下ギャング」が銀行の地下にトンネルを掘り、数百万ドル相当の金品を盗み出した前例がある。昨年3月にも、チャッツワース・トパンガにある宝石店で類似の手口が試みられたが、直前に犯行が発覚し未遂に終わっている。