
2025年大阪・関西万博で設置された「オールジェンダートイレ」が話題になっている。
オールジェンダートイレとは、性別に関係なく誰でも利用できるトイレで、LGBTQ(性的少数者)への配慮を目的に導入された。ただ、来場者の中には馴染みのない形式に戸惑う声もあり、今後定着するかに注目が集まっている。
16日付の読売新聞によると、オールジェンダートイレは今回の万博会場内に設置された全トイレのおよそ40%に当たるという。全45カ所のトイレのうち18カ所に、男女トイレとは別に個室タイプのオールジェンダートイレ計108室が用意された。入口には男女の両方を表すピクトグラムが表示されている。
万博を主催する日本国際博覧会協会は「すべての人が使いやすいユニバーサルデザイン」を基本設計の方向性として掲げており、SDGs(持続可能な開発目標)の中核であるジェンダー平等を実現する場として、性的少数者が安心して利用できるよう導入したと説明している。
性的少数者を支援しているNGOの関係者は「心理的な性と身体的な性が一致しない人の中には、公共のトイレで人目を避けるために利用をためらうケースが多い。万博のような国際イベントでの導入は、誰もが安心して生きられる社会を目指すという意味で非常に歓迎すべきことだ」と評価した。
しかし、来場者の反応は分かれている。ある70代の女性は「女性トイレは男性トイレに比べていつも行列ができるので、空いているなら使ってみたい」と前向きに話した一方、30代の女性は「個室に入って便座が上がっていたら直前に男性が使ったと思ってしまい、抵抗がある」と不安を口にした。
オールジェンダートイレは日本では2021年の東京五輪を機に普及が始まり、国立競技場や成田空港など主要施設にも設置された。
一方、今回の万博は開幕前から懸念されていた通り、集客面で苦戦している。協会によると、開幕2日目の14日の来場者数は5万1,000人にとどまり、初日の11万9,000人から半減したという。
協会は、万博開催期間の6カ月間で累計2,820万人の来場を目標としており、目標達成には1日平均約15万人の来場が必要となる。
大阪万博は開幕前から、埋立地に設けられた会場のメタンガス爆発のリスクや高すぎる物価への不満から集客が不安視されていた。
開幕後も悪天候や混雑、通信障害などにより来場者の不満が続出し、日本のSNSでは「万博ヤバい」というハッシュタグがトレンド入りした。
毎日新聞が13日に発表した世論調査では、今回の万博を見に行く予定があると答えた日本人はわずか13%だった。
協会側は「今後さまざまなイベントが順次開催される予定」とし、「より多くの来場者を呼び込むためにPRを強化する」としている。
万博は5年に一度開催され、ワールドカップ、オリンピックと並ぶ世界三大国際イベントの一つとされている。